米国はあす4日、毎年恒例の「国家祈祷日」を迎える。周辺日を含め、全米で4万を超えるイベントが開催される見込みで、多くの米国民が国のために心を合わせて祈る。
昨年は、全米で約4万7千件という記録的な数のイベントが開催された。コロラド州に拠点を置く国家祈祷日推進委員会のディオン・エルモア広報部長によると、今年は土曜日の6日には4万〜4万5千件のイベントが開催される見込みだという。
エルモア氏は、国家祈祷日が65年前に法制化されて以来、「(米国の)すべての政権が国家祈祷日の式典に代表者を派遣しています」と言う。「私たちの願いは、米国民が(国家祈祷日に出される)大統領や知事の告示に励まされ、ヤコブの手紙5章16節の『正しい人の祈りは、大きな力があり、効果をもたらします』という聖書の教えに信頼して、教会やグループ、また個人で行われる祈りや黙想の中で神に向かうことです」
国家祈祷日は1952年に議会で承認され、88年からは毎年5月第1木曜日に日付が定められ、毎年開催されている。共和、民主の各政党の政権時代いずれも、歴代の大統領により正式な支持を得えてきた。
一方、無神論団体が、憲法に反する宗教支持政策だと主張するため、毎年の開催が物議を醸すこともある。2010年には1人の判事が違憲判決を下したが、翌11年の上訴審では判事3人が全会一致で合憲の判決を下し、決定が覆された経緯がある。
今年のテーマは「大いなる御名のために」。これは、ダニエル書9章19節の「主よ、聞いてください。主よ、お赦(ゆる)しください。主よ、耳を傾けて、お計らいください。わたしの神よ、御自身のために、救いを遅らせないでください。あなたの都、あなたの民は、御名をもって呼ばれているのですから」という聖句から取られている。
首都ワシントンにあるアズベリー合同メソジスト教会は、国家祈祷日を守っている教会の1つだ。同教会で祈りのミニストリー調整役を務めるタワナ・C・ジャクソン氏は、同教会がこれまで長年にわたって国家祈祷日を守ってきたと、クリスチャンポストに語った。
「国家祈祷日を順守することは、教会が地域社会や教会員との関わりを深める機会になり、祈りの重要性を強調することができます」とジャクソン氏。「私たちは、地元の方々や教会員に祈りと黙想の場を提供し、アズベリーが人々を愛し、仕え、人生に変化をもたらしていることを知っていただく責任も感じています」と言う。
ジャクソン氏は、「教会の扉は、(国家祈祷日に)教会に来て祈りたい方々全員に開かれています」と付け加えた。
同教会では、教会の前を通り過ぎる人々のために教会の祈祷チームが祈る活動も計画している。「礼拝堂に入りたくない人のために、ひざまずいて祈れる長椅子を教会の入り口に設置します。また、正午には祈りの集会を持ちます。喧騒(けんそう)に満ちた世界で、皆さんに希望と平安と心を静めるひとときを提供したいと願っています」
国家祈祷日は、米国の祝日の1つである「感謝祭(サンクスギビング)」(11月第4木曜日)と同じルーツを持つといわれている。両日とも国家的な祈りの日として位置付けられているが、英国からの入植者が定着した米東海岸では、春または夏には祈りと断食、晩秋には祈りと感謝の時を持つ伝統があり、そこから由来したとされている。感謝祭は1863年にエイブラハム・リンカーン大統領により法制化され、国家祈祷日は1952年にハリー・トールマン大統領により法制化された。
国家的な祈祷日の制定については、南北戦争中の1863年に、リンカーン大統領も呼び掛けたとされている。1952年に法制化された際は、日付は指定されていなかったが、88年に当時のロナルド・レーガン大統領が毎年5月第1木曜日と定めた。米国の大統領はこの日、公式の告示を発表することが慣例となっており、共和党政権下では、ホワイトハウスで記念行事が行われることもある。