全米のクリスチャンの教授や教員ら千人以上が、「弱い立場の人々」の存在を認め、擁護する約束を中心とした声明に署名した。声明は、人種差別や女性蔑視、移民排斥主義、経済格差を「国家的な罪」と指摘。これらの罪はクリスチャンの間でも見られるものだとし、「われわれは、不正を訴え、隣人を知り、また愛し、神の創造物を正しく管理することを、本当に多くの場面でなしえていないことを告白します」と述べている。
「告白と約束の声明」(英語)と題されたこの声明は、「Confessing Faculty(告白する教授たち)」というウェブサイトに掲載された。声明は今年1月、シカゴのノースパーク神学校で起草され、その後、カリフォルニア州サンタバーバラのウェストモント大学の教授らが幾つかの変更を加えた。3月の公開後、神学校やキリスト教学校ばかりでなく、一般の学校からも署名者が集まり、リベラルから保守までの幅広い教育者たち千人以上が名を連ねている。
「米国は議論を引き起こした選挙と、恐れ、両極化、暴力によって彩られた選挙後の時期を経験しました」と始まる声明には、「現在の政治的状況は、根強い人種差別、女性蔑視、移民排斥主義、大きな経済格差という国家的な罪を明らかにしています」と書かれている。そして、「さまざまな程度の特権と力を持つキリスト教高等教育機関の教授陣のメンバーとして(しかしこの声明においては、それらの機関を代表してはいない)、われわれ署名者は、最も弱い立場の人々と声を合わせます」と続く。
署名者は、プリンストン神学校やイェール神学校のようなリベラルな学校から、カルヴァン大学やフラー神学校、ホイートン大学のような神学的に保守的な学校まで、非常に幅広い学校の教授らが名を連ねている。
声明は、これらの問題の一端はクリスチャンも担っていると指摘。「有色人種や女性、他の社会的に疎外された人々は、現在の国家的状況ばかりでなく、白人の福音派の文化の多くでも疎外されていると徐々に感じているのです」と述べている。
ウェストモント大学のサミール・ヤダフ助教授(宗教学)は、声明の作成に携わった同大の教授ら3人のうちの1人。ヤダフ氏はクリスチャンポストとのインタビューで、自身また声明に携わった同僚たちが同大を代表して声明作成に関係したのではないと語った。むしろ「クリスチャンの教授として、私たちが現在の政治的状況の中で自らの召命と責任だと受け取っていることについて、私たちの学生たちとさまざまな人々のために声明を出そうとしたものだ」と説明した。
ウェブサイトの名称「Confessing Faculty(告白する教授たち)」は、ナチス時代に政権側の立場を取った「ドイツ的キリスト者」に反対し、1934年にバルメン宣言を出した「Confessing Church(告白教会)」から採ったという。
「これ(名称をナチス時代の告白教会に倣ったこと)は米国の社会的、政治的状況の深刻な混乱をナチ主義と同一視しようとしているわけではなく、国家の文化的、政治的目標が教会の目標を吸収することを許さないことの重要性を強調するためなのです」
ヤダフ氏は、声明を「そうすべきふさわしい場面で告白し、悔い改める召し」として、また「学術分野で働くすべてのクリスチャンに行動するよう促す召し」として受け取ったという。
「私はこの声明が、私たち自身の専門分野や組織のことばかりを考えるのではなく、キリスト教的で知的な、共同の抵抗の働きを行うために、多くの神学的、組織的分裂を超えた教授間の連合につながるよう望んでいます」