女子大初となる総合政策学部がこの春に開設される津田塾大学の千駄ヶ谷キャンパス(東京都渋谷区)で24日、同学部のために建設されていた新校舎の竣工式が行われた。新校舎の大講義室で行われた竣工式には、大学や工事関係者ら約120人が参列。日本同盟基督教団恋が窪教会の柿島文人牧師が聖書からメッセージを伝えたほか、同大の島田精一理事長や髙橋裕子学長らが、新学部への期待を語った。
JR千駄ヶ谷駅の目の前という好立地に新しく建った新校舎は、地下1階・地上5階建ての地域の環境を損なわない低層ビル。女子大で総合政策学部が設置されるのは日本で初めてであると同時に、同大が複数学部体制になるのは、1948年に新制大学となり「学芸学部」を設置して以来初となる。
竣工式では初めに記念礼拝が行われ、司式の柿島牧師が、竣工式に先立って行われた定礎式で、聖書が新校舎の定礎箱に納められたことを紹介。「津田塾大学の礎は聖書です」と伝え、「真理を見る目を開く」と題した竣工の辞では、イエス・キリストが盲人を癒やす奇跡が書かれた、ルカによる福音書18章35~43節から語った。
盲人が癒やされた出来事は、救い主に関する預言を思い起こさせると柿島牧師。「旧約聖書の預言者たちはいろいろな奇跡を行っているが、盲人の目を癒やしたという奇跡は1つもない」と言い、「初めてイエス・キリストが盲人の目を開いてくれた。これは単なる奇跡ではなく、心の目が開かれるという象徴です」と話した。
同大創設者の津田梅子も、6歳で米国に渡り、17歳までの11年間、キリスト教の世界に触れ、これまで自分を縛っていたものや既成の価値観から自由になった。これこそ心の目が開かれる経験だとし、それによって津田は、自分で選択し、喜々として生きることを学んだと柿島牧師は語った。
「イエス・キリストこそ、私たちの心の目を開いて、今まで気付かなかった真理に導き、あなたを自由にしてくださいます」。柿島牧師はこう語り、最後に「この新しい学び舎で、多くの学生が大いに学び、心の目が開かれた喜びに満たされる中で、新しい真理に心躍らせ、のびのびと自由に探求が続けられるよう願っています」と結んだ。
記念礼拝に続き行われた記念式典では、島田理事長が竣工に至るまでの経緯を説明し、素晴らしい新校舎が完成したことに感謝の意を示した。「21世紀の津田梅子」を育てられるよう、充実した教育を実現したいと述べ、これからがスタートであることを強調した。
新校舎の「定礎」の文字を書いたという髙橋学長は、「定」も「礎」も、最後は「人」で終わることに言及。「人という文字に支えられるようにして、その上に石や木などの文字が乗っています。人が力を尽くして、力強く支えるということを思いながらこの2文字を書かせていただきました」と話した。そして、新校舎建設のために尽力した関係者らに感謝の言葉を述べ、これから新しく始まる2つのキャンパスと2つの学部を成功させるよう、「オール津田」で力を尽くしていく決意を伝えた。
同大では今後、地域との連携を図りながら、駅前という好立地を生かし、企業やNGO・NPOとの連携も視野に入れており、新校舎を拠点に活動の可能性は広がっていく。