米プロテスタント最大教派の南部バプテスト連盟(SBC)が、米キリスト教出版社「ライフウェイ・クリスチャン・リソーシーズ」と協力して、米国内でクリスチャンが現在直面している信教の自由に対する脅威について、信徒が6週間で学べる新しい学習プログラムを作成した。
SBCの倫理宗教自由委員会(ERLC)は7日、「信教の自由:福音は私たちの第一の自由をどのように形作ったか」(英語)という小グループで学ぶ新しい学習プログラムを発表した。プログラムは6つの項目で構成されており、70人を超える牧師、学者、クリスチャンの思想指導者とのインタビューが含まれている。
プログラムで扱っているのは、▽信教の自由と今日の文化、▽信教の自由と聖書、▽信教の自由とキリスト者の使命、▽信教の自由と公共の利益、▽公共の場における信教の自由、▽信教の自由とよくある反論――の6つの項目。
信教の自由が脅威にさらされる時代には、信教の自由が単に党派心をあらわにした政治理念ではないことを人々に気付かせる必要がある。ERLCのラッセル・ムーア委員長は発表(英語)の中で、「私たちは基本的に、神の姿に似せられ、良心を持つ者として創造されました。ですから、最終的には皇帝カエサルではなくキリストに説明責任を負っています。今後は、この学習プログラムによって信徒や教会が、神話や誤解を取り除き、キリストご自身を証しすることができるようになることを祈っています」とコメント。「この学習プログラムの目的は、信教の自由が福音に基づいているということを、教会が知ることです」と語っている。
プログラムは、テキストと15~20分のインタビューを収録したDVDによる学習キットになっている。主な執筆者は、ERLC副執行委員長のフィリップ・ベサンコート氏と、ERLC政策研究責任者のアンドリュー・ウォーカー氏の2人。
プログラムの紹介には次のように書かれている。
信教の自由があることで、イエス・キリストが命じた「大宣教命令」を実行に移していくことができ、近くの、そして全世界の隣人を愛するという使命を進めていくことができる。しかしこれは、クリスチャンが、キリスト教だけでなくあらゆる人々の信教の自由を気に留めなければならないことを意味する。信教の自由は公共の利益に資するが故に、私たちの生活のあらゆる部分に適応すべき原理である。私たちは、他の人々を好きになる必要はないが、彼らの持っている権利を尊重すべきである。
(中略)信教の自由は、クリスチャンに与えられた宣教の命令を遂行していくとか、懐かしい過去を取り戻すことではない。それは、私たちの良心を守り、自分の考えを自由に言い表せる社会を目指していくことである。福音を宣(の)べ伝えることは、信教の自由を停滞させることにはならない。信教の自由は福音への信頼を表すものである。
バプテスト系のニュースサイト「バプテスト・ニュース・グローバル」(英語)によると、この学習プログラムでは、米国で信教の自由が危機的な状況にあることが述べられている。結婚や性などに対するクリスチャンとしての信念に強い反発があることを、クリスチャンの実業家や政府の役人も経験していることが触れられているほか、キリスト教信仰を理由に同性婚に関わる仕事を拒否したことで罰金を科されたクリスチャンのパン屋や花屋などが例として挙げられているという。