現ローマ教皇(法王)フランシスコ(80)の激動の半生を事実に基づいて描いた映画「ローマ法王になる日まで」(6月3日公開)の予告編が21日、公開された。南半球出身の初の教皇、またイエズス会出身の初の教皇として4年前の2013年3月、第266代教皇に就任したフランシスコ。イタリア移民2世としてアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで生まれ、庶民派の教皇として民衆から広く愛されるとともに、バチカン(教皇庁)の改革や貧しい人々に寄り添った奉仕活動、環境問題や人種差別などにも積極的に取り組んでいる。本作は、そのフランシスコが教皇に就任する前、一介の聖職者だったホルヘ・マリオ・ベルゴリオ時代の激動の日々を描き出している。
公開された予告編には、1960年、アルゼンチンで恋人と別れ、神に仕えることを選んだ青春時代から、76〜83年のアルゼンチン軍事政権下で苦悩する姿、そして独裁政権の終焉(しゅうえん)を迎えた85年に、多くの仲間を失い失意の中で訪れたドイツで、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世からブエノスアイレスの補佐司教に任命されるシーンなどが織り込まれている。
若き日のベルゴリオを演じるのは、アカデミー賞歌曲賞受賞作「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2004年)で、革命家チェ・ゲバラの親友アルベルト・グラナードを演じたロドリゴ・デ・ラ・セルナで、本人そっくりと言われるルックスに役作りし、熱演している。また、コンクラーベ(教皇選挙)直前のベルゴリオを、スペイン・チリ合作の映画「グロリアの青春」(13年)で知られるセルヒオ・エルナンデスが演じている。
映画は、バチカン大使館やアルゼンチン大使館、イタリア大使館などが後援するほか、カトリック中央協議会広報も推薦している。6月3日(土)から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA ほか、全国で順次ロードショー。
■ ストーリー
コンクラーベのためにバチカンを訪れたホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(現ローマ教皇フランシスコ)は、運命の日を前に自身の半生を振り返る――。1938年、ベルゴリオは、イタリア移民の子としてブエノスアイレスに生まれる。大学で化学を学んでいた彼は20歳の時、神に仕えることが自分の道と確信し、イエズス会に入会。神学を学び始め、瞬く間にその指導力が認められて35歳の若さでアルゼンチン管区長に任命される。だが次第に軍の圧力が強まり、恐怖政治の足音が近づいて来る・・・。弱き者、民衆に寄り添い続けたベルゴリオが教皇となるまでの激動の日々、彼が愛し、彼を支えた人々の姿を感動的に描き出す。
■ 映画「ローマ法王になる日まで」予告編