7月に開催される北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を前にして、日本を含む世界9地域のカトリック司教協議会は17日、貧困削減や気候変動に対する具体的な対策を求める共同声明を発表した。声明は、サミット参加国の各司教協議会会長らが、同じくサミット参加国の各首脳に向けたもので、各首脳が問題解決のために「責任をもって行動するよう」求めている。
声明では、ローマ教皇ベネディクト16世が今年4月に初めて訪米した際の発言を引用。ベネディクト16世は米国で国連本部を訪問した際、発展途上国の中でも、特にアフリカにおける諸問題について危惧を示していた。そのため声明では、今回のサミットの主要議題としてアフリカ支援が挙げられていることを歓迎した。
一方で、05年のサミットで決定された、開発途上国向けの援助を2010年までに年間総額で約500億ドル増加し、その半額をアフリカ向けにするという公約の遂行を求め、さらに健康管理、教育、人道救助などの項目においてさらなる公約を追加するべきだとした。
また、世界的な食糧危機、HIVエイズ、マラリアなどの感染症の悪化などの問題について、「緊急に一致した行動をとる必要がある」とし、貧困層に与える食糧危機の影響を緩和するための対策、医療・教育分野における支出の増加、人権を尊重する公正な世界貿易の整備など、具体的な提案を検討するよう求めた。
気候変動に関しては、「信仰者にとって神の創られたものを守るというコミットメントに根ざした特別な課題」だとし、気候変動問題が「信仰」に関連する課題と明言。また、この問題に関しても、「貧しい人々は、地球規模の気候変動を悪化させている人間の活動に最も関係がなかったにもかかわらず、その有害な結果を過度に被ることになる」とし、気候変動がもたらす貧しい人々への影響に危惧を示した。
声明の最後には、「この会議(洞爺湖サミット)が、貧困削減と気候変動に対して具体的な方策をとることによって、世界の共通善を促す協調の精神で満たされますよう祈ります」と、サミットに対する期待を示した。