「夢見る者がやってくる」と悪口を言われながら、不可能にチャレンジしつつ、不思議に門が開かれてきた。一九九八年二月二十五日、大阪市内に新しい教会が与えられるという祝福を体験した。おそらく日本で初めてのレンタルチャーチではないかと思う。
在日韓国人の兄弟が、日本の救いを願って、マンションの二階部分を教会堂とし、貸し出すことにした。「クリスチャン新聞」や「リバイバル新聞」に記事が掲載されたが、借り手はなかった。保証金だけで一二〇〇万円、共益費や光熱費に消費税を入れると家賃も一〇〇万近くになるから、無理もないことであった。
一月末、私のところに電話があり、使ってほしいとのこと。大阪へ出かけた。教会堂のあるマンションの設計者とも会い、福音を語った。彼はイエス・キリストを受け入れてくれた。
その一週間後に、私はその教会を借りる信仰の決断をした。一切の条件を考えずに、その場所で教会を始めることが神の御心であるかどうかだけを祈り、祈りの中で決断し、その旨を連絡した。結果として大きな恵みを受けることができ、感謝している。保証金は八〇〇万円に下がり、家賃も七十万円になった。しかも四月から九月までの家賃は献金ということで、半年間無料になった。半年間の間にリバイバルが訪れ、家賃を払うことが可能な教会になるよう、チャレンジを受けたのである。
教会の名前は、ELIMキリスト教会。場所は大阪市浪速区恵美須西三‐二‐四、栄光キリストビル二〇一。新しい大阪の顔フェスティバル・ゲートの真向かいにあり、通天閣や環状線からも九階建ての屋上に輝く十字架が見える。交通も至便で、しかも今、大阪で一番安全と言われる場所である。
兄が牧会する大阪救霊会館とは五〇〇メートルほどの距離にある。昔、クート師と市電に乗り、大阪市内を走っていた時、「義之兄弟、大阪にはもう一つ教会が必要だよ。あなたが作るだよ」と言われたことばが、思いがけず現実になった。
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榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。(Amazon:天の虫けら)