米国のイエズス会が発行する週刊誌「アメリカ」(電子版、英語)によると、ドイツ福音主義教会(EKD)がローマ教皇フランシスコを初めて招聘(しょうへい)し、教皇に宗教改革発祥の地ドイツを訪問するよう求めた。
ルター派、改革派、合同派などのプロテスタント各派が連合して1945年に設立されたEKDは、ドイツのプロテスタント教会を代表する存在。500年前にさかのぼる宗教改革以来、ドイツの主要なプロテスタント教会が教皇を招聘するのは今回が初めてだという。歴史的な招聘状は、EKD常議員会のハインリヒ・ベドフォドストローム議長らが6日、教皇庁(バチカン)を訪れた際に届けられた。
ベドフォードストローム議長は、教皇フランシスコの書斎で謁見(えっけん)した際、「(教皇は)万人のために善と慈悲の新しい弦を打ち鳴らしました」と述べた。
一方、教皇は「私たちの洗礼は同じです。私たちは、たゆむことなく歩みを共にしなければなりません」と、ドイツから訪れた代表団に語った。一致の道を後戻りするようなことがあってはならないとし、カトリックとプロテスタントが「共に福音の証しをし続け、完全な一致に向けて歩みを続ける」必要があると述べた。
ベドフォードストローム議長は、カトリックとプロテスタントの間の相互陪餐の問題についても触れ、教皇に「共通の子どもや孫、友人を持つ夫婦が主の食卓で別々に座っているのは、信仰の家族にとって痛ましい現実です」と語った。
教皇は、カトリックとプロテスタントが「互いの交わりの中心にキリストを再び置くために」、宗教改革の歴史的出来事を共同で祝うことを歓迎。ドイツでは3月、EKDとドイツ・カトリック司教協議会の共催で、悔い改めと和解の合同式典が開催される。
宗教改革は1517年、ドイツの修道士マルティン・ルターがヴィッテンベルクの城教会の門扉に「95カ条の論題」を釘付けたことで始まる。英国国教会の首席聖職者であるカンタベリー大主教と次席聖職者であるヨーク大主教は最近、宗教改革500年を記念して声明を発表。宗教改革に伴って起きた暴力に関して、「良心の痛み」を表明している。
この象徴的な出来事の後、教会の分裂が徐々に拡大し、カトリック教会からプロテスタント諸派が生まれた。カトリック教国とプロテスタント教国の間では暴力行為が何世紀も続き、片方の教会しか認めない支配者たちは、敵国の支持者らを頻繁に処刑した。