新座、東久留米、清瀬の都内3市19の教会や幼稚園、学校、企業が協力し、「地域教会がネットワークを築いて、来るべき直下型地震で助け合い、そして地域に仕え合う」という趣旨のもと、地域と行政との連携を目指す「教会防災ネットワークNHK(Niiza, Higashi-kurume, Kiyose)」。その会議が1月29日、清瀬市にある東京キリスト宣教教会で行われ、地元の牧師と関係者ら17人が参加した。
クリスチャンによる被災者支援団体「クラッシュジャパン」(東久留米市)の次期東京災害対策担当であり日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)元代表である栗原一芳氏が中心となり、3市の教会に呼び掛けたことから、このネットワークが関東圏で最初に始まった。栗原氏は防災士の資格を持ち、2011年の東日本大震災以降、教会間の防災連携と協力を強めるために各地で講演を続け、現在では少しずつその輪も広がりを見せている。
会議の冒頭、同ネットワークのメンバーであり自由学園(東久留米市)で危機管理本部本部長を務める蓑田圭二教諭により、災害時に地域情報を配信するラジオ放送局の必要性が訴えられた。そして、実際に蓑田氏自身が携わるコミュニティーFM局「FMひがしくるめ」(運営:株式会社クルメディア)が今年7月に開局するが、それに向けた進捗状況も報告された。「実際に3・11で都心は帰宅困難者が深刻な問題となりました。また、被災地では防災無線が壊れて機能しなかった例もあります」と蓑田氏は語る。続いて栗原氏が「災害時の地元情報の必要性」を訴え、「クリスチャンが地域コミュニティーに進んで入っていき、関係づくりをしていかなくてはならない」とも語った。
社会福祉協議会に関わったことがあるという参加者からは、「行政も一つ一つに力が及ばない」との意見が出た。「では、実際に震災が起きた場合、ネットワークとして何をするか」という問い掛けもあり、議論は深められていった。ある教会は、礼拝後に避難訓練をしたと、自らの取り組みを紹介した。さらに、「避難場所を知っておく必要がある」、「何よりも自分の身の安全確保を第一に優先し、次に教会員の安否情報を確認しなければならないが、電話は不通になることがあるので、その場合はSNSやLINEが有効だ」という意見も出た。
さらに課題として、震災後の支援物資をどこに置くかという「スペース」の問題と、実際に活動できる人材、発電機などのツールの確保についても話し合われた。栗原氏は「教会間のネットワークは時に行政より早く動けたケースがあります」と述べ、熊本地震などで実際にあった事例を紹介した。基督聖協団清瀬グレースチャペルの菅谷勝浩牧師は、「時間とともに物から経済的な支援へと、必要とされるものが変わっていく」と、東日本大震災直後に東北へ入って救援活動に取り組んだ自らの経験を共有した。
地震列島である日本だからこそ、クリスチャン一人一人やそれぞれの教会が、その時にどう備えるかが問われている。「終わりの日」と同様、「気をつけて、目を覚ましていなさい。その時がいつなのか、あなたがたには分からないからである」(マルコ13:33)。