サウジアビアは、同国で使用する暦を、イスラム教の預言者ムハンマドが、メッカからメディナへ移住した年を元年とするイスラム暦から、ローマ教皇グレゴリウス13世が1582年にユリウス暦を改良して定めた、イエス・キリストの誕生に基づくグレゴリオ暦に変更した。
これは、サウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドルアジズ国王が議長を務める閣議で最近決定されたもので、各報道によると、2014年に始まった原油価格の下落で世界最大の産油国である同国が打撃を受けたことにより、赤字財政を救済する金融引き締め政策の一環だという。
ヒジュラ歴とも呼ばれるイスラム暦は太陰暦で、日本を含む世界で広く用いられているグレゴリオ暦などの太陽暦と比べて、年に日数が11日ほど少なくなる。その結果、イスラム教の祭日は32年で一回りする。アラブ首長国連邦(UAE)の英字紙ガルフニュースによると、グレゴリオ暦への変更で、公務員の給与が11日分少なくなる。これまでは、民間企業だけが、給与計算にグレゴリオ暦を使っていた。
一連の金融引き締め政策は、他の多くの経費削減対策と共に10月に成立した。
閣僚の給与は20パーセント、諮問評議会議員の給与は15パーセント削減される。政府職員の年次賞与は1年間なしで、現在の契約を更新または延長する際も昇給はない。さらに、閣僚の年次休暇も42日から36日に短縮される。
サウジアラビアは、歳入の約75パーセント、輸出収入の90パーセントが石油関連産業からとなっている。同国では、民間企業の被雇用者の80パーセントが非サウジアラビア人で、外国人労働力に対する依存度が高い。
公称では、全国民がイスラム教徒で、多くはスンニ派だとされているが、約150万人のキリスト教徒(大部分は外国人)がいると推定されている。主要宗派は、国教として固く信奉され、「超保守的」だとされるイスラム教ワッハーブ派となっている。