11月30日に教皇フランシスコと会談を行ったマーティン・スコセッシ監督。最新映画「沈黙―サイレンス―(原題:Silence)」では、17世紀の日本を舞台に、イエズス会の宣教師たちに対する迫害を描いている。
バチカン放送局のショーン・パトリック・ロべット氏とのインタビューでスコセッシ監督は、「沈黙」を製作したときのエピソードや、ニューヨークの騒々しいスラムで育った自らの人生について語った。同放送局英語版が同日報じた。
スコセッシ監督は「沈黙」の製作について、自身の健康状態の悪化や他の諸問題にさいなまれた長期的な企画だったと語った。撮影場所は屋外が多く、人里離れた山岳地帯で足首の深さまで泥につかることもしばしばあり、それがどれだけ関係者全員を肉体的に疲れさせるものであったかを説明した。しかし、この企画を放棄したいとは決して思わなかったという。
映画の題名である「沈黙」が、自身にとって何を意味するのかを尋ねられたスコセッシ監督は、「沈黙」を探し出し、その大切さが分かるために長い時間を要したと語った。
インタビューの中でスコセッシ監督は、ニューヨークの借家のスラムに住み、街や周りの家々から聞こえる音の「不協和音」のただ中で、自身がどのように育ったかを説明した。そして、唯一見つけることのできた沈黙の場所は、ニューヨーク市の聖パトリック大聖堂だったとし、「私はそこで多くの時間を過ごした」と語った。最近では、生活の中でより多くの平安と静寂を探求する一環として、自宅の部屋の1つに特別な防音を施したという。
スコセッシ監督は、自身のこれまでの作品について、騒音に満ちていて、しばしばとても「熱狂的」だったと振り返った。その一方で「沈黙」では、サウンドトラックに音楽がない代わりに風景や鳥の音があると指摘し、沈黙がどのように「聞こえるか」を見いだす1つの方法だと述べた。