静岡県浜松市にある教会「ぶどうの木」が制作した、命と家族をテーマにしたストーリーで聖書のメッセージを分かりやすく伝える絵本『一つになろうよ!!命の絵本・命の糸に出会う本』(燦葉出版社、2014年)の韓国語版が今月、韓国のクムラン出版社から再出版された。従来の絵本より少し小さく手に取りやすいサイズとなり、今韓国で社会問題となっている同性愛やエイズについて触れた新しいページも追加された。
本作は、恋愛、結婚、子育て、家庭がどういったものであるのか、またどうあるべきかを、聖書の言葉をもとにストーリー仕立てにした絵本。同教会の聖書勉強会における、「神に喜ばれる人間になるための土台は家族・家庭にある」という学びの成果が1冊にまとめられたもので、2014年に燦葉出版社から日本で発行され、その1年後の15年10月に同出版社から韓国語版も出版された。
韓国語版の出版は、同教会の山田聖子牧師が韓国の梨花女子大学留学中に、韓国人の友人との関係の中で、日韓の和解のために必要なのは聖書の言葉の力であることに気付かされ、そのために長い間祈り続けてきた1つの答えだった。山田牧師自らが翻訳を担当し、韓国語版には、韓国人と日本人が聖書の言葉により歴史の壁を越えて和解できることを伝えるページが加えられた。
また今回の再出版に当たっては、韓国人編集者とのやりとりの中でさらに、同性愛・不妊治療(卵子・精子提供)・性病(エイズ)など、今韓国社会で議論を引き起こしている問題に警鐘を鳴らし、障がい者に対して聖書は何と教えているのかを伝える内容も加筆された。
山田牧師は、「韓国だけでなく日本でも同性愛を容認する傾向にあり、牧師でさえも声を大にして反論することができない世の中になってきている。神の秩序を乱そうとする悪魔の策略に対して、聖書の御言葉をもって真っ向から戦わなければならないと思う」と話す。
命や家族を取り巻く現代の社会問題に焦点を当てているため、絵本とはいっても大人を対象にした内容になっているが、聖書を読んだことのない人にも、聖書が何を教えているのか分かりやすく伝わるよう配慮されている。子どもたちも大人と一緒に読むことができるよう、色鮮やかで抽象的なイラストが添えられた絵本に仕上げられ、文字が読めない子どもが見ても理解できるように、イラストだけでも内容が伝わるよう工夫がなされている。
特に、「この絵本には、何の肩書もない普通のクリスチャンの日常生活の中での学びや証しが記されている。私たちの教会には、難しい神学から学び始めた者は1人もおらず、いつも聖霊を教師として聖書を学び、具体的な聖霊体験をして今に至っている」と山田牧師が話す通り、山田牧師をはじめとする同教会メンバーの実際の体験がふんだんに組み込まれているのが大きな特徴だ。
韓国のウェストミンスター神学大学院大学校のジョン・インチャン総長も、実体験に基づいて福音宣教のために書かれた本作を、神学書が大半を占める韓国キリスト教出版業界の中で「新しい」と評価。「一般信徒には信仰の証しの書や信仰生活の案内書として、宣教師たちには宣教の新しいビジョンを立てる指針書として、教会学校の先生やバイブルスタディーを導く人たちには聖書のガイドブックとして、牧会者たちにはその役割と使命の重要性を知る教科書として、広く読まれるとよい」と推薦文を寄せている。
クムラン出版社は、ウェストミンスター神学大学院大学校と韓国オンヌリ教会に本作をそれぞれ100冊ずつ寄贈し、韓国での福音宣教に用いられるよう働き掛けている。「日本においては、クリスチャンでない人たちにも、結婚のお祝いや出産のお祝い、クリスマスプレゼントなどに喜ばれ、親しまれている。韓国においても、クリスチャンはもちろん、大人も子どもも関係なく、聖書を知らない全ての人たちに気軽に手に取って読んでもらい、神が私たち一人一人にどんなメッセージを伝えているのかを知ってもらえたらうれしい」と山田牧師。日本でも近いうちに、改定版が出版される予定だ。
絵本『一つになろうよ!!命の絵本・命の糸に出会う本』の日本語版は定価1000円(税込)。一般書店、大型書店、アマゾンなどで購入することができる。