ケニア北東部マンデラで25日午前3時半(日本時間同9時半)ごろ、宿泊施設が襲撃され、少なくとも12人が死亡した。マンデラはエチオピア、ソマリアとの国境に近く、ソマリアを拠点とするイスラム過激派組織「アルシャバブ」がラジオで犯行声明を発表。アルシャバブはこの襲撃で15人を殺害したと主張している。
英BBCによると、死亡した12人のうち、10人は大学の演劇グループに所属する学生たちで、現地の学校で公演するために宿泊していた。ケニアのデイリー・ネイション紙によると、10人は事件前日の24日にマンデラに到着。ケニア中等教育修了試験の受験者らのために公演を行う予定だったという。
キリスト教系の迫害ニュースサイト「ワールド・ウォッチ・モニター」(WWM)によると、アルシャバブに同調的なメディアは、他の地域から来た「キリスト教徒のケニア人を殺害した」と伝えている。襲撃犯らは即席の爆破装置を使って金属製のドアを破壊し、宿泊施設に侵入後、部屋にいた12人を次々に射殺したという。
マンデラでは6日にもアルシャバブによる襲撃事件があり、6人が殺害されている。アルシャバブはこの事件について、この地域からキリスト教徒を追い出すための犯行だとしていた。一方、WWMは、死亡した6人のうち実際に何人がキリスト教徒だったかは明らかでないと伝えている。
BBCは、イスラム教徒が多いマンデラ周辺では、キリスト教徒を狙った襲撃事件が相次ぎ、死者が出ていると伝えている。この地域に住むキリスト教徒は、主にケニアの他の地域から来た技術職の人たちで、地元の病院や学校にとって非常に重要な存在。AFP・時事通信によると、マンデラ県のアリ・ロバ知事は事件を受た記者会見で、「これで投資も熟練労働者もわが県には来ない。ケニア国内のどの地域もわれわれと交流してくれない」と、治安悪化による地元経済への悪影響についても危機感をあらわにした。