エチオピアで、キリスト教徒の10代の少女4人が、キリスト教関連の文書を配布したとして逮捕された。
キリスト教系の迫害ニュースサイト「ワールド・ウォッチ・モニター」によると、逮捕されたのは、エデンさん(15)、ギフティさん(14)、ミヒレットさん(14)、デボラさん(18)の4人で、エチオピアの主要言語であるアムハラ語で書かれた「愛の真実を語ろう!アーメド・ディーダットから出された質問に対する答え」と題する文書を配布していたという。
この文書は、国際イスラム教伝道センターで所長を務めていた南アフリカのイスラム学者、故アーメド・ディーダット氏が提示した、キリスト教信仰についての質問に対する答えを掲載したものだ。首都アディスアベバの東約550キロにある町バビルで、プロテスタントのメセレテ・クリストス教会と純福音教会などが、異文化伝道の訓練の一環として、この文書を配布していたという。
ところが、地元のイスラム教徒は、この文書はイスラム教を侮辱するものだとして、9月19日、バビルにあるメセレテ・クリストス教会の所属教会を襲撃し、ドアや窓を破壊した。
バビルの町役人が翌20日、宗教指導者間の会議を開き、会議に出席した地元のメセレテ・クリストス教会と純福音教会の指導者は、文書の配布を謝罪し、この件から距離を置くことにしたという。
同日開催された、より規模の大きい公開集会で、町役人は「宗教的衝突を扇動する」ことを望んでいた「一部の人々」を批判し、そうした「扇動者」に対して、より進んだ対策を取るよう警告した。この件では、純福音教会も襲撃され、メセレテ・クリストス教会の指導者は脅迫も受けていたという。
4人の少女はこれまでに数回出廷しており、現在、この事件はハラール市の上級裁判所に移送されている。
ワールド・ウォッチ・モニターによると、エデンさんが拘置所に入った最初の夜に、暴力を受けたという情報があり、4人の健康が心配されている。しかし、4人を訪ねた情報筋によると、4人の信仰は揺るぎなかったという。「これ(苦難)は私たちの誇りなんです。むしろ迫害はあるべきなのです。でも恐れてはいません。私たちは拘置所で歌い、祈っています」とエデンさんは言い、デボラさんは「神の国のために投獄されるのは名誉なことです」と話しているという。
エチオピア当局は宗教の自由は保障するとしているが、福音派のキリスト教徒はしばしば差別と嫌がらせを受けている現状がある。