【CJC】カトリックの聖人フランシスコゆかりの地、イタリア中部アッシジで18日、世界の宗教対話集会「宗教者サミット」が開幕した。アッシジ教区、フランシスコ関係諸修道団体、聖エジディオ共同体などが組織した。
過激派組織「イスラム国」(IS)のテロ横行を踏まえ、世界平和を祈願するサミットに世界約60カ国からキリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、神道などの宗教指導者511人が参加した。約1万2千人の巡礼者らも集まった。参加者はテロや難民、環境保護などの問題で宗教が果たすべき役割を話し合った。
サミット最終日の20日、教皇フランシスコもバチカン(ローマ教皇庁)からヘリコプターでアッシジを訪れ、市内各所に分散してそれぞれの伝統に従って開かれていた集会の1つに参加した。
教皇はイスラム教、ユダヤ教などの指導者と会談後、中世イタリアの聖人「アッシジの聖フランシスコ」の聖堂でキリスト教聖職者と平和を祈願。その後、他宗教指導者と共に戦争被害者に黙とうをささげ、「平和の呼び掛け」に署名した。
先々代ローマ教皇の故ヨハネ・パウロ2世が冷戦時代の1986年10月に宗教指導者をアッシジに招き、「世界平和の祈りの集い」を開いた。今回のサミットはその30周年記念に当たる。
サミットでは、イスラム教指導者が「ダーイシュが乗っ取ったイスラム教を私たちの手に取り戻さなければならない」と述べ、シリアのキリスト教聖職者は「シリア北部の激戦地アレッポを救え」と訴えた。
日本の仏教や神道の代表者も参加し、「宗教に無関心な人々との対話」や「政治、経済など各界との連携強化」を促した。
日程の最後、参加者は聖フランシスコ広場に集合、閉会式に参列した。教皇は、アルゼンチンのユダヤ教ラビ、アブラハム・スコルタ氏、エジプト・アルアズハル大学のアッバス・シューマン副学長、日本からは天台宗宗務総長の杉谷義純氏らと登壇した。
閉会式では、中東紛争の被害者、シリア・アレッポのタマル・ミカリ氏の証言が読み上げられ、続いてメッセージがエキュメニカル総主教バルソロメオス1世、ラビ・ダビド・ブロドマン、天台座主、森川宏映大僧正、インドネシアのウレマ評議会のディン・シャムスッディン総裁によって述べられた。
教皇は説教で、さまざまな宗教の男女がどこでも、特に紛争のある所では、共に集まって一致を推進してほしい、と強調した。
教皇は、信仰者全てに、不信、ファンダメンタリズム、憎しみといった重荷から自分を解き放つことを、また宗教指導者には、対話の力強い架け橋となり、平和を生み出す仲立ちとなるよう呼び掛けた。