ロシア正教会の府主教が、同教会の大聖堂内でポケモンGOをプレーしたとして逮捕され、現在、勾留されているブロガーの青年を釈放するよう求めている。
ロシア中央部の都市エカテリンブルグで障がい者の母親と二人暮らしをしているルスラン・ソコロフスキーさん(21)は、市内にある「諸聖徒血の上の大聖堂」でポケモンGOをプレーし、ポケモンを何匹か捕まえた動画を先月11日、ユーチューブに投稿した。こうした行為が宗教を冒とくしたなどとして、ソコロフスキーさんは逮捕され、3日に起訴された。現在2カ月間の勾留中だが、有罪判決を受けた場合、最大で懲役5年の刑になる可能性がある。
ロシア正教会のエカテリンブルグ府主教キリルは、オンラインニュース「ズナック」に、「私たちは流血を望まない」と述べ、ソコロフスキーさんの釈放を求めている。
ロシア正教会は、「同様の行為が拡散しないこと」だけを求めているとし、ポケモンGO自体もプレーヤーに対し、ポケモンを捕まえる際には違反行為をしないよう注意を促していると述べている。
キリル府主教は、教会の指導者らはこのブロガーの青年のために「時間を費やす用意」があると述べている。ロシア正教会は、ソコロフスキーさんが教会の慈善活動や、障がい者、老人、子どもらへの支援活動に協力してくれることを願っているとし、ソコロフスキーさん自身が「神と聖母を怒らせた」とする問題の投稿動画をユーチューブから削除することを求めている。
エカテリンブルグは、ロマノフ朝最後のロシア皇帝ニコライ2世とその一族が1918年に処刑されたイパチェフ館があった地で、ソコロフスキーさんがポケモンGOをプレーした大聖堂は、2003年にイパチェフ館跡地に建てられた。
エカテリンブルグ議会のエフゲニー・ロイツマン議長も、ソコロフスキーさんの釈放を嘆願しつつ、若者を投獄することは「恥ずべき行為」だと述べた。フェイスブックの投稿では、ソコロフスキーさんは確かに挑発的だったが、「愚かでマナーが悪いからといって逮捕してはならない」と述べている。
エカテリンブルグがあるスベルドロフスク州が発表した声明によると、ソコロフスキーさんは、宗教者の感情を害し、宗教的憎悪をあおり、「社会に対する明確な侮蔑」を示す行為を行ったとして、また複数の過激主義的な罪を犯したとして起訴された。
ロシアの法制下では、単に教会内でポケモンを捕まえただけでも、自由に礼拝する権利を侵害したとして犯罪になり、この罪だけでも罰金と最大懲役3年の刑が科される可能性がある。
ソコロフスキーさんは動画の中で、教会内でポケモンGOをプレーすることが違法行為になるとは思わないとして、大聖堂にポケモンを捕まえに行くことにしたなどと述べている。また、動画ではイエス・キリストが実在したことについても疑問視するような発言をしているという。