反テロ関連法として教会外での伝道を禁じる伝道規制法が成立したロシアで、教会指導者が逮捕された。
ロシアの英字紙「モスクワ・タイムズ」は8月29日、救世主ハリストス・ウクライナ改革派正教会のセルゲイ・ズラフリオフ代表が、サンクトペテルブルク・メシアニック・ジュー共同体の前で説教している最中に逮捕され、伝道規制法違反の罪で起訴されたと伝えた。
法執行機関の当局者は、インタファクス通信に対し、ズラフリオフ氏はロシア正教会に対する否定的な態度をあおったことと、ロシアで禁止されている「右派セクター」と呼ばれるウクライナ人の民族主義政党とのつながりを持っていたために告発されたと語った。
ロシアとウクライナは、2014年のクリミア併合後、現在も対立状態が続いていおり、クリミア併合は、ロシアを後ろ盾とした分離主義者たちとウクライナ政府軍間のウクライナ東部での武力衝突に拍車を掛けることとなった。
ズラフリオフ氏は逮捕後、検察に書類送検された上で保釈されたという。
伝道規制法は、テロや過激主義の拡散に対抗する目的の反テロ関連法として、ウラジミール・プーチン大統領が7月7日に署名し、同月20日に施行された。ロシア国内では、教会がこの法律に反対して断食祈祷会を行うなどしているほか、旧ソ連崩壊後のロシアで最も信仰の自由を拘束する動きだと指摘する声もある。
また、10月にはモスクワで、米国のビリー・グラハム伝道協会(BGEA)とロシア正教会が協力して、キリスト教徒に対する迫害をテーマにした国際会議を予定していたが、伝道規制法の成立により、開催を来年5月、ワシントンに変更することを発表している。