中国政府によるキリスト教弾圧が続く中国東部の浙江(せっこう)省では最近、同省内にある温州中央病院で、病床訪問や病人のための祈り、説教を含むあらゆる宗教活動が禁止された。
カトリック教会公式の通信社であるアジア・ニュースによると、同病院は「あらゆる形の宗教活動を禁止する」という同省当局からの通達を受けた。同病院はその通知を壁に掲示するように指示され、看護師と他の医療スタッフは患者と訪問者に知らせるように命じられた。
同省温州市は、過去に非常に多くの宣教活動がなされたために、「中国のエルサレム」といわれ、現在は約100万人のキリスト教徒が住んでいる。
「病院での宗教活動は決して奨励されていませんでした」と、同病院に勤務する匿名の従業員はアジア・ニュースに語った。「しかし、ある者たちは無言で祈りました。それは当然で、理解できることです。他方、私たちは皆、患者たちを支援するためにここにいます。大きな声で聖書を朗読したり、祈りを暗唱したりして、騒音を起こす人たちがいたのです。それは良いことではありませんでした」
2年前、同省当局は教会の建物から十字架を撤去することを開始した。それに抗議した牧師2人は、それぞれ懲役12年と14年に処された。これらの教会のために弁護した多くの人権弁護士たちも逮捕された。
米国に拠点を置くキリスト教団体「チャイナエイド」のボブ・フー氏は、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に、同省での厳重な取り締まりが、東部の安徽(あんき)省や北部の内モンゴル自治区を含む近隣の諸省・自治区にも広がっていると述べた。
「中国政府は宗教者への迫害をもう1つ上のレベルに引き上げています」とフー氏。「彼らは法の支配の名の下にそれを行っています。しかし実際には、全ての宗教を中国共産主義化する魂胆があることは明白です。世界中の教会は中国が宗教活動への圧力を強めており、その結果、徐々に信教の自由が侵害されていることに気付くべきです」
米国に拠点を置くキリスト教迫害支援団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC)は、「浙江省での十字架の撤去と教会の取り壊しの後、中国政府は病院を標的にすることに決めたのです。この地方の病院の多数は基本的に宗教団体の支援によって運営されています。中国共産党は浙江省を国内からキリスト教を除き去る闘いの前線とすることに決めたのです」と説明している。
チャイナエイドは最近、教会の礼拝に出席したために、キリスト教徒が福祉サービスを受けられなくされた中部の貴州省での事件を取り上げた。
米国務省は最近の報告で、「この1年間、中国政府が宗教的信仰と実践に関係した活動のために、公認と非公認の両方の宗教団体の信者を身体的に虐待し、拘束、逮捕し、さらに拷問にかけ、禁錮刑に処し、苦しめているという報告が続出した」と指摘。中国憲法は信教の自由を保障しているのにもかかわらず、政府が宗教者を迫害していると非難した。