【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が、かねて中国との国交回復を目指し準備を進めていたが、最大の対立点である「司教任命権」について合意する用意を示している、と香港カトリック教会の指導者、湯漢・枢機卿が推測を明らかにした。中国とバチカンは1951年に断交している。
湯枢機卿は香港のカトリック系週刊紙「公教報」(電子版)へ7月31日付で寄稿、中国政府が司教任命問題に関してバチカンとの間で「相互に受け入れ可能な計画を追求している」と指摘した。
将来、新たに設立される中国司教協議会をバチカンが公認し、同協議会が司教候補者リストを教皇に提出、その中から教皇が適任者を司教として任命する仕組みになるという。
現在、中国のカトリック教会は、政府公認の中国天主教愛国会と教皇に忠誠を誓う非公認の地下教会に分かれている。新司教協議会は愛国会と地下教会の双方の司教で構成される。
教皇フランシスコは2013年3月の着座以来、中国との関係改善を目指し、訪中の意向も示している。しかし、バチカンの対中急接近を懸念する声が内外にあることも事実。湯枢機卿の寄稿は教皇の対話路線を支持する内容で、新展開が近く行われることを事前に示唆したとも見られる。