英国のイングランド地方とウェールズ地方における児童性的虐待に関する審理が行われており、担当弁護士によると、提出されている7千件の証拠資料について、英国国教会が関係しているという。
ベン・エマーソン勅撰弁護士は、ロンドンの王立裁判所で7月27日に行われた予審で、審理を担当するゴダード司法官に取り調べの新たな報告を提出し、少なくとも今後5年間は審理が継続される見通しとなった。
エマーソン弁護士によると、現在114件の情報源について取り調べが行われており、チチェスター教区の教会における虐待を含め、教会関連の虐待についての調査が並行して行われている。
この審理において英国国教会が関係する部分では、ピーター・ボール元主教による虐待が相当数あるとみられ、審理はその部分に焦点を当てる形で行われるとみられている。ボール元主教は、1980年代に犯した犯罪で昨年投獄されており、27日の公判には、ボール元主教の法定代理人が出廷した。
エマーソン弁護士の元には、大主教評議会や警察、「主だった関係者」を含む被害者らから、虐待を示す7千件余りの証拠が持ち込まれた。これまでのところ、188人の申立人がゴダード司法官から「主だった関係者」としての認定を受けている。そのうちの36人は、英国国教会の関係者である。
エマーソン弁護士は、弁護側によって取られている手法について概説し、この審理で調査しているのは、英国国教会の伝統がどの程度の範囲で虐待事件の露見を「抑え込もうとしてきたか」という点と、「子どもたちを虐待から守れなかった教会側の過失の特質や範囲」だと述べた。
また、ボール元主教による虐待に対する申し立てに関して、「適切な対応を取ることに失した規定や機関」について、さらにチチェスター教区やボール元主教の過失が「英国国教会全体における氷山の一角なのかどうか」について、調査していると付け加えた。
英国国教会の国家安全防護顧問であるグラハム・ティルビー氏は、「イングランドとウェールズの英国国教会に対する取り調べに関して、本日新たな報告があったことと、提出済みの資料が適切かつ有用なものであることが、今回の審理で認定されたことを私どもは歓迎しています。私どもや他の主だった関係者らから相当量の資料が提出されており、現在その資料の精査と証言の特定作業が進行中です。3月に行われた予審後に申し上げた通り、私どもは公明正大にこの審理に臨む所存でおります。また、この審理の取り組みが、英国国教会を万民にとって安全な場とするための私どもの務めにおいて、極めて重要な役割を果たすと信じております」と述べた。
現在、審理の模様をテレビ放送するかどうかについての検討がなされている。
エマーソン弁護士は25日、審理の全体的な状況について触れ、「私たちは週に80件から100件の申し立てを受け取っており、警察からは週平均20件から25件の委託を受けています」と述べた。この数字を年間に換算すると、警察の捜査件数は、潜在的には千件に上ることを意味している。