キリスト教系国際NGOチャイルド・ファンド・ジャパン(東京都杉並区)は、5月に熊本地震の影響を受けた保護者を対象とした「被災地の親と子どものこころのケア」のウェブサイトを公開していたが、それに続いてポケットブック『被災後の子どものこころのケアQ&A』を制作し、熊本県内の441の保育園など、約4万人の保護者に配布した。
このポケットブックには、熊本地震の影響を受けながら子育てをしている保護者たちへのメッセージと、子どもの心のケアのヒントがQ&A形式で収められている。パート1「お母さん・お父さんのこころの安心のために」、パート2「子どもの安心のためにできること」、そして父母から寄せられた悩みや質問に答えが添えられるといったもので、すでに公開されているウェブサイトと同じ内容だが、各パートの中で1つずつ「園長先生」からのメッセージが加えられるなど、1冊にまとめるに当たって情報も更新。いつでも読みたい時にすぐ読めるよう、A6版、16ページの手に取りやすい仕様で、たくさんのかわいいイラストが添えられている。
監修・執筆しているのは、ルーテル学院大学(東京都三鷹市)人間福祉心理学科子ども支援コース主任の加藤純教授。大きな災害の後には子どもの心のケアが非常に重要ではあるが、まだまだ厳しい状況が続く中、日々の生活や子育てに精いっぱいの保護者にあらためて子どもの心のケアを求めると、かえって親の負担を増やすことにもなるという。このポケットブックでも、心のケアは特別なことではなく、毎日の子育てが心のケアになっていることを伝えている。
熊本地震において、「子どものこころのケア」を中心とした支援を実施してきたチャイルド・ファンドは、すでにこのポケットブックを、熊本市保育園連盟および熊本県保育協会の協力を得て、熊本県内の441の保育園などの約4万人の保護者に配布。今後も配布対象を拡大し、より多くの保護者に届けていく予定だという。監修・執筆を担当した同大も、被災した子どもを支援する人たち、特に教育関係者や福祉関係者、および保護者に、中長期的な「子どものこころのケア」のために活用してほしいと呼び掛けている。
申し込みは、チャイルド・ファンド・ジャパンの資料請求フォームから。また、PDFファイルを自由にダウンロードすることもできる。