中国のキリスト教が持つ複雑な世界に焦点を当てたエキュメニカル会議が、20日に香港で始まった。「教会論調査国際研究ネットワーク」の主催によるもので、4日間にわたるこの会議には、神学者や研究者らが集まって、中国および広くはアジアの文脈における教会の過去と現在、そして未来を探求するという。バチカン放送局が20日付で報じた。
同放送局のフィリッパ・ヒチェン氏はこの会議に出席し、開会セッションで主題講演を行った2人の講演者である香港聖公会のポール・クゥオン大主教と、カトリック香港教区補佐司教のマイケル・ヤン司教に取材した。
「対話が不可欠」である理由は、「違いは非難や侮辱によって解決できないからだ」。その言葉はエキュメニカルな努力に関わっている人なら誰にも共鳴するところだが、その一方で、それが特別な響きを持つのは、それがここ香港で語られるときだと、ヒチェン氏は述べた。ここでは、教会が中国本土の共産党の指導者層とのぎこちなくも極めて重要な関係を支えようと苦闘していると同氏は話す。
ヒチェン氏は、「私はこの小さな領土を20年前に訪問したが、その時、それはまだイギリスの支配下にあり、中国の主権へ移譲されるのにおののきながら備えていた。当時、私は、香港が中国の特別行政区として自治を維持する方法を詳しく説明した『香港特別行政区基本法』に正式に記されている保証にもかかわらず、民主主義が損なわれてしまうのではないかという、多くの不安の声を耳にした」と記している。
「20年を経て、少なくとも表面的には、この地は観光や貿易、そして金融の国際的な中心地として、かつてなく活気に満ちているように見える。けれども2014年の秋に新聞の見出しをにぎわせた『オキュパイ・セントラル』(香港の中心部を占拠しよう)という抗議運動は、とりわけ若い人たちがいまだに中国がその香港特別行政区行政長官を選出するやり方に不満であることを示したのだった。彼らは香港の指導者たちを選ぶ香港特別行政区立法会に、もっと自由や幅広い参加を求めていたし、それで彼らは再び進んで街に出ては、自分たちの声が聞こえるようにしたのだ」と、ヒチェン氏は記している。
教会の指導者たちは、これらのデモや民主主義の要求に関してどのような立場を取っているのか。聖公会のポール・クゥオン大主教は、会議の参加者たちに対し、この不穏に悲しんでいると語り、香港と中国の信頼をより大きく発展させていくことの重要性を強調した。
同大主教は、中国人民政治協商会議と呼ばれる北京の諮問機関の一員であり、それを通じてキリスト教徒たちの関心をもっとよく知らせることができるという。これをやる最も良い方法は、叫んだり運動をやったりすることではなく、「中国式」と同大主教が呼ぶ、信教の自由が尊重されなければならないと静かに、丁寧に主張することだと、同大主教は主張する。
カトリックのマイケル・ヤン司教は、カリタス香港で20年以上も活動した経験に基づく、異なったアプローチを持っている。教会が多くの困難に直面していることを否定することなく、教育を通じて心を形成していくことや、最も欠乏のうちにある人たちに仕えるというカトリックの社会教説が持つ重要性を主張している。カリタスは現在、完全に認められた、大陸からの学生たちにも開かれたカトリック大学を香港に設立する取り組みを指導している。
バチカンと中国との関係における進展についての最近の報道にもかかわらず、ヤン司教は、司教の任命や教皇が持つ権威の承認に関して鍵となる障害を克服することは、たやすくはないだろうという。
しかし、2人は共に、外交関係をそっと前へと進めるのを助けることができるような信頼関係を築く、対話が持つ力を堅く信じている。ヤン司教は、教皇フランシスコは対話の架け橋を築くよう、私たちに強く求めておられ、それこそがまさに私たちがここでやり続けなければならないことだと話した。