聖公会の世界共同体「アングリカン・コミュニオン」の一員である南インド教会(CSI)が、インドの企業省重大不正捜査局から財務上の不正行為の嫌疑で捜査を受けている。
インドのエコノミック・タイムズ紙によると、同教会の資産を管理する南インド教会信託協会の帳簿上の食い違いを会計監査が発見した。
同教会は、主教らによって構成される聖シノドによって運営されており、インドの23教区を監督し、1万6千余りの村で慈善活動を実施している。スリランカにある1教区も含め計24教区があり、400万人余りの信徒がいるといわれている。同教会は、いかなる不正行為もないとしている。
同省会社登記局は、同教会の資産が帳簿に記載されていないことや、会計の不透明性を報告している。
インドのチェンナイに本部を置く重大不正捜査局の捜査官が匿名で同紙に語ったところによると、「捜査の命令は、ちょうど1週間前に受けた」という。
同紙によると、教会の信徒らが2007年から当局に捜査を依頼していたという。インド首相府は昨年10月、食い違う点があるとの嫌疑が掛けられている件について、企業省に捜査依頼を通達。会社登記局は今年1月、報告書で重大不正捜査局による捜査を推奨した。
同教会は、北インド教会やパキスタン教会と共に、アジアで英国国教会の流れを継承している。
インドの民間団体「情報公開法への権利」の報告書によると、会社登記局は「(同教会の)付属企業が、さまざまな関係当局との貸借対照表に、同じ会計年度に別々の情報を記載していた」と報告している。
「情報公開への権利」は報告書の中で、「その企業は、詐欺的な目的あるいは不正な目的で運営されていたようだ」としている。
共謀共同正犯(数人で犯罪を計画し実行すること)の疑いと個人的に得た資金の変換について重大不正捜査局が徹底した捜査を行っており、同局の捜査官によると、最短でも6カ月に及ぶ捜査が行われるという。
一方、同教会の議長であるゴバダ・ディベイザーバダム大主教は、いかなる不正もないと主張している。「これは作業の立ち遅れの結果であって、腐敗ではありません。不正は一切ありません。たった1つの教区で会計報告が遅れただけでも、全教会の不名誉につながるのです」と、大主教は同紙に語った。