
東京都目黒区の碑文谷公園内にある弁天池で、近所に住む阿部祝子(ときこ)さん(88)のバラバラにされた遺体が発見された事件で、警視庁碑文谷署は9日、阿部さん宅から約500メートル離れた場所に住む自称無職・池田徳信(やすのぶ)容疑者(28)=世田谷区野沢=を死体遺棄容疑で逮捕した。防犯カメラの映像や阿部さん宅に残された遺留物から、池田容疑者が浮上したという。池田容疑者は「やっていません」と話し、容疑を否認している。時事通信などが伝えた。
同通信によると、池田容疑者は阿部さん宅から約500メートル離れたマンションで家族と一緒に暮らしていた。阿部さん宅があるマンションの防犯カメラに、池田容疑者が出入りする姿が映っていたほか、阿部さん宅からは池田容疑者のものとみられる遺留物が見つかったという。さらに、事件発生時期に碑文谷公園の弁天池近くを訪れていたのも確認されているという。
阿部さんの遺体は6月23日に発見された。清掃員が同日午前、弁天池に人の足のようなものが浮いているのを見つけ、警察が捜査したところ、体の他の部分も見つかった。
同通信やNHKによると、遺体発見前の阿部さんの足取りでは、19日午後8時ごろ、遊びに来ていた長男家族を、自宅マンション3階のエレベーター前で見送る姿が防犯カメラに映っていたのが最後だった。翌20日午前9時過ぎには、予約していた清掃用具のレンタル業者が阿部さん宅を訪れたが、インターホンを押しても反応がなく、電話も出なかったという。
この業者はその後も阿部さん宅を数回訪れたが、連絡が取れなかったため、26日に警察に届け出た。同日に警察が調べたところ、部屋の玄関は鍵がかかっておらず、阿部さんの姿もなかったという。東京新聞によると、部屋には荒らされた跡はなく、現金が入った財布や通帳、携帯電話も残されたままだった。
池田容疑者は、阿部さんの姿が防犯カメラで最後に確認された19日午後8時から、清掃員が阿部さんの遺体の一部を弁天池で発見した23日午前10時半までの間に、阿部さんの遺体を弁天池に遺棄した疑いが持たれている。
東京新聞によると、池田容疑者は自宅マンションに長年住んでおり、警視庁碑文谷署に設置された捜査本部は、池田容疑者と阿部さんの間に日常生活の中で接点がなかったかも調べている。また、防犯カメラに阿部さんの姿が映っていた19日午後8時から、業者が最初に阿部さん宅を訪問した翌20日午前9時までの13時間に、阿部さんが事件に巻き込まれた可能性が高いとみて、池田容疑を調べる方針。
日本テレビによると、池田容疑者は自宅マンションで60代の母親と2人で暮らしていた。池田容疑者宅の近くに住む人は、「男の子とお母さんは見たことあるけど付き合いないから何も知らない。2人しか見たことない。普通の男の子って感じしかない」と話している。