「ジーザス・ジューン・フェスティバル2016」(日本民族総福音化運動協議会・同実行委主催)が20日、21世紀キリスト教会広尾教会堂(東京都渋谷区)で開催された。毎年6月に開催されていることから、「ジュン・フェスティバル(June Festival)」と名付けられ、今年で13年目となる。今年は、元ヤクザの伝道団体「ミッション・バラバ」の創設者で、企業や学校、団体など多方面で講演するなどして活躍しているアーサー・ホーランド牧師が講師として登壇した。ホーランド氏のユーモア溢れるトークとその生き様を通し、参加者は日本宣教への思いを新たにした。
集会冒頭のあいさつで、同協議会の奥山実会長(世界宣教センター所長)は、「御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣(の)べ伝えられる。それから、終わりが来る」(マタイ24:14)を引用し、地上で伝道することと、イエス・キリストの再臨が深く関係していることを話した。また、「福音を全世界に宣べ伝えることは、イエス様のご命令で、われわれは命懸けでそれに従っていく」と述べ、福音を伝え、福音の種をまくことこそが最も大切な使命であると力を込めた。
そして、講師であるホーランド氏が新宿で破天荒な方法で伝道したことや、十字架を担いで国内外を伝道していることなどを紹介し、「どんな方法をもってしてでも、われわれは日本の救いのためにイエス様を伝えていかなければいけない」と訴えると、会場からは「ハレルヤ」の声が飛び交った。
奥山氏のあいさつの後、集会では、ホーランド氏が昨年6月に歩き抜いた4800キロの米国横断十字架行進のビデオを放映した。ホーランド氏は2014年3月にハワイ・オアフ島一周十字架行進を達成した後、西海岸のカリフォルニア州サンタモニカから行進を開始。15年6月13日、約2年半かけて東海岸のニューヨーク州ロングビーチに到達した。
放映後、ホーランド氏がトレードマークの白いスーツ姿で登場すると、会場からは大きな拍手が。ホーランド氏は講壇には上がらず、参加者らのすぐ目の前に立ち、マイクを片手に1時間以上にわたって熱のこもったトークを繰り広げた。
初めに、「わたしの目にあなたは価高く、貴く、わたしはあなたを愛し、あなたの身代わりとして人を与え、国々をあなたの魂の代わりとする」(イザヤ43:4)を引用し、自分たちが神から尊いものとされ、いかに愛されているかを語り、「自分自身を好きにならなければ、魂を愛することはできない」と話した。
そして、キリスト教とは宗教ではなく、イエス・キリストとの関係だと述べ、自分の体が神の宮であることや、イエス・キリストが汚れた心の中にも存在してくれることを語った。また、「ジーザス(イエス)は、俺の魂をロックンロールし、心の中にときめきを与えてくれる」「信じているものが素晴らしければ、その人の心に影響を与え、それが顔に出るはず」と言い、日本のクリスチャンには輝きが足りないと指摘。「ジーザスは素晴らしいのに、信じているやつらはダサい」と容赦ない。
十字架を担いで歩くときのテーマは、「語らずにして語る」だという。「存在感」で感じさせることのすごさを、セザンヌやピカソといった芸術家の作品を引き合いに語った。さらに、夏目漱石が四角い世界で生きていくことの生きづらさをつづった文章を紹介し、「大切なのは、ジーザスから目を離さずに、この四角い世界の流れに立ち向かっていくこと。信仰者は、ジーザスを見ながら進んでいくしかない」と伝えた。また、「流れに流されてしまっても、方向転換し、再度ジーザスに向かっていけばいい」と励ました。
「自分の中にジーザスの命を迎い入れれば、私たちは冒険やチャレンジに満ちた豊かな人生を送ることができる」と言い、日本の人口の1パーセントと言われるクリスチャンでも、そのからし種のような小さな信仰で多くの実を結べられると話した。「若者5人に火が付けば、100人に燃え移り、それが1万人、1千万人になっていく」と可能性の大きさに力を込めた。また、僧侶の前で伝道について語った体験を話し、「キリスト教以外の宗教を否定するのではなく、そこからイエス・キリストを説くことができる」と語った。さらに、「空気は神の証しであり、自然には神の言葉が満ち溢れ、自然こそが神を知ることができる絶好の場所」と語った。
「教会に無理やり神を押し込めてはいけない。神の国はお前の心のただ中にある」と述べるホーランド氏は、米国横断十字架行進の時にニューヨークのブルックリンで出会った2人の男性について話した。1人はドラック中毒から抜けられない青年。もう1人は殺人を犯して自殺を考えていた中年男性だった。2人は、十字架を背負って歩くホーランド氏の姿を見て声を掛け、身の上を語るうちに、生きる希望を見いだしたという。ホーランド氏は、この出会いを通して、語らずにして語る主がそばにいてくれること、今日を恵みの時と信じて一歩踏み出す勇気の大切さをあらためて知ったという。
最後にホーランド氏は、新宿のアルタ前で伝道を始めたとき、話すべき聖書の言葉が後から与えられたことを証しし、伝道が「使命ありき」であることを伝えた。そして、「2千年の歴史を振り返ると、日本が恵みに満たされ続けてきたことが分かる。日本人は神に愛されている。日本のリバイバルのために、あなたがまず立ち上がることだ」と訴え、日本の宣教のため、一人一人の信仰のために祈りをささげた。
メッセージを終えてホーランド氏は、「こういうタイプの牧師がいてもいいということを知ってもらえればと思う。感性に訴えたつもりだが、今日の話で何かを感じてもらえれば幸いだ」と話した。
クリスチャンだという30代の男性は、「大変すばらしかった。心から感動した」と語った。また、男性の同僚で、現在求道中だという20代の女性は、「ホーランンド先生の話はとても親しみやすく、楽しく聞くことができた。特にお坊さんの前で話したことや、米国での体験談が興味深かった」と感想を語った。