天台宗の総本山である比叡山延暦寺(大津市)の宿泊・研修施設「延暦寺会館」で副館長を務める男性僧侶(40)が、男性修行僧(25)を殴り、鼓膜が破れるけがを負わせていたという。この僧侶は、別の20代と30代の僧侶にも暴行などを加えていたという。中日新聞などが伝えた。
同紙や共同通信によると、僧侶は4月9日夕、別の高位の僧侶から僧侶を呼ぶように頼まれた修行僧が、会館のフロントを通じて用件を伝えたところ、直接連絡に来なかったとして怒り、修行僧の顔や頭を複数回殴ったという。この暴行により、修行僧は左耳の鼓膜が破れるけがを負った。
僧侶は既に修行僧に対して謝罪しており、修行僧も僧侶の謝罪を受け入れたため、延暦寺は警察には届け出なかったという。僧侶に対しては厳重注意とし、再発防止の誓約書を書かせたとしている。また、再発防止のための対策委員会も設置したという。
一方、朝日新聞によると、この僧侶は同10日には別の20代の僧侶を殴っていたという。また、2月には30代の僧侶の袈裟(けさ)を破り、転倒させていた。
延暦寺は9日、報道を受けて謝罪のコメントを発表。「宗内寺院様、檀信徒様、お取引先様、関係者の皆様、また全国の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと、謹んで深くお詫び申し上げます。比叡山延暦寺はこの度の事案を謙虚にかつ厳粛に受け止め、皆様から賜りましたご意見ご叱責を肝に銘じ、今後は宗祖の御教えを厳守し、全山一丸となって1200年来、受け継がれた伝統の名誉と信頼の回復に努める所存です。今後とも当山に対し、一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申し上げます」としている。