【CJC=東京】ドイツ連邦議会は2日、1915年に起きたオスマン帝国によるアルメニア人の大量殺人を「大虐殺」と認定、政府がトルコ、アルメニア両国の和解に向け取り組むよう求める決議案を賛成多数で可決した。
決議を受けて、トルコは同日、フセイン・アヴニ・カルスルィオグル在ドイツ大使を召還した。この決議では、第1次世界大戦中にオスマン帝国と同盟関係にあり、当時150万人いたと見られるアルメニア人の大量虐殺を防止できなかったドイツ自体をも非難している。
アルメニア人の大量迫害は20世紀初め、オスマン帝国が崩壊し、現在のトルコ共和国が成立する時期に起きた。
米メディア「ハフィントン・ポスト」などによると、第1次世界大戦中の1915年4月、オスマン帝国の首都だったイスタンブールで、アルメニア人の知識人らが連行された。これを皮切りに「アルメニア人は敵国ロシアに内通している」として、オスマン帝国が強制移住などの措置をとり、大量の犠牲者が相次いだとされる。アルメニア人はキリスト者で、当時オスマン帝国内に多数居住していた。
アルメニア側は「犠牲者は約150万人」と主張しているが、トルコ側は「30万~50万人程度」で、戦時下の悲劇だとして組織的な虐殺はなかったと主張している。
トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は「このドイツ議会の決議は、2国間の関係に重大な影響を与えるだろう。在ドイツ大使の召還は、最初のステップでしかない」と語った。トルコ政府は、同日にベルリンから同国領事も召喚した模様。
この事件を大虐殺として認定したドイツに対し、アルメニア人は歓迎している一方、ドイツとトルコ間に生じた政治的対立がシリア難民のような他のグループにどのような影響を及ぼすか注目される。