ナイジェリアのチボクで女子生徒276人が誘拐されてから2年以上が経過し、いまだ211人が拘束されていると見られている。今月、アミナ・アリさんとセラ・ルカさんの2人が発見されたことで、残りの少女救出への希望も大きくなった。
世界キリスト教連帯(CSW)のナイジェリア調査員は取材に対し、事情は複雑だと述べた。「非常に大規模なキャンペーンがあり、パブリシティーとしても効果が大きいことから、チボクの少女たちはボコ・ハラムにとって価値の高い財産なのです」。そのため、ボコ・ハラムは何らかの見返りなしには少女たちを解放しないだろうと見られている。
ムハンマド・ブハリ大統領は、「アミナさんの救出は私たちに新たな希望を与え、極めて重要な情報を得る好機となります」と述べた。チボクのあるボルノ州のカシム・シェッティマ州知事は記者に、「私たちは今後数週間のうちに、残りの少女たちを発見できると信じています。軍はすでに森に進入しています」と述べた。
ナイジェリア政府は、2年以上にわたって女子生徒を発見できていないことで厳しい批判にさらされてきた。昨年5月に前任のグッドラック・ジョナサン氏に代わって就任したムハンマド・ブハリ大統領は、ボコ・ハラムの残虐な反乱と戦うことを約束し、治安を彼のキャンペーンの重要な柱としてきた。
しかし、チボクの事件が「bringbackourgirls(私たちの少女を返して)」キャンペーンで国際的な注目を浴び、また女子生徒が解放されたという無数の虚偽の噂(うわさ)があったにもかかわらず、女子生徒たちはいまだ行方不明だ。
ボコ・ハラムは約7年間ナイジェリア北部を制圧しており、アフリカで最も人口の多い国にその過酷なイスラム教の解釈を導入しようと試みている。
ボコ・ハラムによる反乱の結果、約2万人が死亡し、250万人以上が家を追われた。ボコ・ハラムの軍隊が弱体化しているという報告は増えており、今月の人質100人(チボクの少女たちを含む)の救出もその裏付けとなっている。
フランスのフランソワ・オランド大統領は14日、ナイジェリアでのセキュリティー・サミットで、「(ボコ・ハラムは)弱体化し、後退しつつあり、追い回され、制圧していた地域を放棄しています。結果としてより標的としやすくなり、戦闘も進んでいます。しかし、このテロ組織は脅威であり続けています」と語った。
CSWのナイジェリア調査員は、「ボコ・ハラムは退却し弱体化しているように見えますが、非常に多くの国々の組織と同盟を結んでいるという事実から見ると、それを当てにすることはできません」と述べた。
軍が発表した報道記事からは、ナイジェリア軍がサンビサ・フォレストの掃討に当たって前進していることが推測される。圧力が大きくなることによって、過激派がその地域を維持できなくなり、さらに多くの人々が解放されるとの希望がある。
CSWの調査員は、地域の情報筋の話として、最初に発見された少女の「夫」は、餓死を恐れたために彼女とその子どもを連れてボコ・ハラムから逃げたと語ったと明かした。
「軍が補給路を断ち始め、軍事作戦がより厳しくなると報じられています。そのため人質とボコ・ハラムの戦闘員の両方にとって、飢えと健康状態の悪化が問題となりつつあります」
「私たちは、チボクの少女を含めさらに多くの人質が解放されるよう祈っています。2人が解放されたことも奇跡ですが、それでさえ、これから起こる奇跡のほんの一部にすぎません」とCSWの調査員は語った。「私たちは、もう211回の奇跡を望むだけです」