秋田県鹿角市の山林で21日朝、タケノコ採りに入った後、行方が分からなくなっていた無職・高瀬佐市さん(79)=鹿角市十和田大湯=が死亡した状態で見つかった。遺体には爪痕やかみ痕があり、クマに襲われたとみられている。朝日新聞などが伝えた。
同紙やNHKによると、高瀬さんは20日朝、軽トラックに乗ってタケノコ採りに出掛けたが、夕方になっても戻らず、家族が同日夜、警察に通報した。警察が翌21日朝から捜索したところ、高瀬さんの自宅から約15キロ離れた青森県との県境近くの鹿角市十和田大湯の山林で、高瀬さんの軽トラックが見つかり、同日午前7時ごろ、車から約100メートル離れた山林の中で死亡しているのが見つかった。高瀬さんは、顔や上半身に爪でひっかかれた痕や、かまれた痕が複数あったという。
テレビ朝日によると、現場近くでは21日にもタケノコ採りに入った夫婦がクマに襲われ、けがを負ったという。また、鳥取県でも同日午前7時半ごろ、山中をランニングしていた男性(57)がクマのような動物に襲われ、右手の指を折るけがをした。
NHKによると、高瀬さんが見つかった現場は、青森、秋田の両県にまたがる十和田湖の南約8キロの山林。鹿角市農林課農地林務班の小野寺裕一班長がNHKに話したところによると、現場周辺はクマがよく出没する地域だという。
クマへの注意を呼び掛ける環境省の文章によると、日本にはヒグマとツキノワグマの2種が生息しており、このうちヒグマは北海道、ツキノワグマは本州と四国の山地に生息している。ツキノワグマは体長1・1〜1・5メートル、体重80〜120キロの大きさになる。ヒグマ、ツキノワグマともに人より速く、時速約40キロで走ることができ、鋭い爪と大きな歯を持っており、襲われると大けがを負う危険性がある。
環境省は、クマに出会ったときの対処としては下記の行動を取るよう呼び掛けている。
1)遠くにクマがいることに気がついたとき
- 落ち着いてその場から離れましょう。
- クマをおどろかすので、大声を出したり、走って逃げるのはやめましょう。写真をとるためフラッシュを使うのも止めましょう。
2)近くにクマがいることに気がついたとき
- 落ち着いてゆっくりとその場から離れましょう。その際、クマに背を向けずに、クマを見ながら、ゆっくり落ち着いて後退してください。
3)すぐ近くで出会ったとき
- あわてた人の急な動作で驚いて、攻撃してくることがあるので、冷静に、あわてず、クマが立ち去ってからその場を離れましょう。
- 突発的におそわれたら、両腕で顔や頭をガードして、大ケガを避けましょう。