ドイツの極右集団による首都ベルリンでのデモに対応しようと、約3千人の人たちが同都市のプロテスタント教会による呼び掛けに応えて「開放性と寛容」のために行進した。世界教会協議会(WCC)が11日、公式サイトでフリーランス・ジャーナリストのスティーブン・ブラウン氏による報道として伝えた。
「私たちの社会を分断しようとする試みに対して、私たちは自らの憲法が持つ価値を支持します」と、ベルリン=ブランデンブルグ=シュレージシェ・オーバーラウジッツ福音主義教会(EKBO)のマルクス・ドレーゲ監督は、7日のこの行進の終わりに行われた集会で聴衆に語った。
「人間の尊厳は不可侵のものです」とドレーゲ監督は述べた。「それは人々の文化や民族・宗教・言語あるいは肌の色を理由とした、彼らに対するどんな誹謗中傷をも禁じるものです」
この行進が企画されたのは、過去1年間にドイツに到着した何十万人ものイスラム教徒を中心とした難民の統合に関する議論のただ中で、同国で右翼団体への支持が増大しているのを受けたもの。
人々は、トロンボーンの楽団が演奏する賛美歌の音に合わせてブランデンブルグ門に集まった。それから行進を始め、虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑を歩いて通り過ぎ、フランスでの迫害を逃れたプロテスタントの難民のために18世紀の初めに建てられた教会の前で閉会集会を行った。
このベルリンの教会がこのような行進を企画したのは、これが初めてであった。同教会は、極右団体がベルリンの政府地区を通って行進するのを「黙って傍観している」ことはできなかったという。
今回の行事を知らせるに当たり、同教会は、「さまざまな団体や民主的な政党と共に、私たちは、隣人のためのキリスト教的な愛の精神で、寛容と開放性のために平和的にデモを行うよう呼び掛けます」と述べていた。
閉会集会には、ユダヤ教やイスラム教の団体の代表者たちと共に、政治や労働組合の指導者たちが加わった。ドレーゲ監督はキリスト教の信仰を国家主義的な目的のために乱用しようとする試みを「言葉の矛盾」だとして非難した。
人々が憂慮や心配を示すことが正当である一方で、ドレーゲ監督は、「人々を排除し、人間を誹謗中傷する標語を広め、それによって私たちの憲法が持つ価値を台無しにするために恐怖や心配を用いることは決してできないし、また決して用いてはならない」と話した。
ドイツ福音主義教会連盟(EKD)の元議長で現在はEKD宗教改革記念事業特命大使のマルゴット・ケースマン氏は、自分たちは西洋のキリスト教文明を防護しているのだとする右翼団体の首長を非難した。
「難民を歓迎します」とケースマン氏は語った。「これは、今日私たちの明確なメッセージです」
キリスト教徒は人々を踏みにじろうとするあらゆる試みを拒否すると、ケースマン氏は述べた。「ここに私たちは立ち、ほかに何もできないのです」
警察は右翼のデモ隊の数を約1千人としたが、「ナチのいないベルリン」という標語の下に行われた対抗デモには、約4500人が集まった。