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新年のメッセージ−−立教大学総長 押見 輝男−−
2004年のはじめにあたり、地球上のすべての人が、人間としての尊厳を保障され、平等な人間として生活してゆける社会が実現することを、まず、みなさんとともに祈りたいと思います。
いまわたしたちの世界は、大国のグローバリズムが進行する中で、度重なる国家間の紛争や極端な貧富の格差、また加速する自然破壊など、多くの困難な課題を抱え、社会的にも精神的にも大きな病に犯されています。このような状況の中で、私たちはいま何をすべきかが今日ほど強く問われている時代はありません。
望ましい政治的、経済的対応を考え、その答えを出すことはもちろん大事なことです。しかし、その前に、私たちはまず、みずからの生き方の原点に立ち帰って自分の課題を突き詰めるとともに、すべての他者の「他者性」を可能な限り受入れ、その中で状況をねばり強く問い返し、事態を変えてゆこうとする姿勢を徹底させることが、何より求められているのです。
独り善がりの価値観,善意,正義の押しつけが必然的にもたらす「暴力性」を排し、他者と対等な立場に立って、相互交流と議論を重ねながら協働してゆく方法が求められなければなりません。すべての共同体が元来持っていたはずの生き生きとした協働の可能性を、地域や大学というコミュニティーの中でも家族の繋がりの中でも、真摯に求めてゆきたいと思います。
立教は本年、創設130周年を迎えます。長い歴史を通じて大学がめざしてきた、他者とのコラボレーションによって社会変革を実現しうる人間を育成するという理念を、今後も継承してゆきたいと考えます。立教大学が、新しい学部、学科の創設をめざして現在鋭意検討していることや、昨年、新たに開設したボランティアセンター、知的資源活用センターの活動は、その理念をさらに拡充・深化したものです。
今年もまた、厳しい自己点検としなやかな倫理をもって、立教精神を具体化する道を歩み続けます。
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立教大公式ウェブサイト(http://www.rikkyo.ac.jp/)から転載