世界遺産「仁和寺(にんなじ)」(京都市右京区)が運営する宿坊(宿泊施設)「御室会館」の元料理長の男性(58)が、349日連続勤務など過酷な長時間労働により、うつ状態になったとして、仁和寺を相手取り、約4700万円の損害賠償などを求めた訴訟で、京都地裁は12日、仁和寺に総額約4253万円を支払うよう命じる判決を下した。毎日新聞などが伝えた。
同紙や読売新聞によると、男性は2004年、仁和寺に採用され、05年から仁和寺境内にある御室会館の料理長となった。11年には、月100時間以上の時間外労働が常態化。同年は1年間に356日出勤し、うち349日は連続して勤務するなどした。時間外労働は最長で月240時間に及んだという。12年8月に「抑うつ神経症」と診断され休職。13年7月に労働基準監督署から労災と認定された。
毎日新聞によると、男性は判決後の記者会見で、仁和寺から謝罪がないことを明かし、「誠意のなさにショックを受けている」とコメント。一方、仁和寺側は判決内容を精査した後、控訴を検討するとしている。
仁和寺のホームページによると、御室会館は、心身ともに健全な青少年を育成するための施設「青少年錬成道場」として、日本船舶振興会(現日本財団)の助成で1978年に完成。地上2階、地下1階建てで、客室として和室12室(66人収容)があり、大広間を使用した場合は120人収容できるという。また、京料理レストラン「和食処『梵』」(146席)もある。