過激派組織「イスラム国」(IS)に磔(はりつけ)にされたと報じられていた、インド人でカトリックのトーマス・ウズナリル司祭の兄が、ウズナリル氏に何が起きているか確実な情報を得ていないものの、神の手に全てを委ねていると語った。
「私は良い知らせを待っています。それまで、私は家にいるつもりです」と、マシュー・ウズナリルさん(73)は7日、カトリックニュースサービスのインタビューに答えた。「多くの方がここ(家)に来て、(司祭の安全のための)祈祷会を持っています」とマシューさん。
マシューさんは、日々を祈りとロザリオの祈りの暗唱をして過ごしているといい、神の計画を信頼していると述べた。「全てを神の手に委ね、信頼しましょう。全ては神の手の中に安全に存在しています」と、マシューさんは姉妹が何年も前に送った本を引用して話した。
イスラム過激派と見られる者たちが3月4日、イエメンのアデンにある「神の愛の宣教者会」経営の老人ホームを襲撃した際に誘拐されたウズナリル司祭の安否は、いまだ確実な情報がない。この事件では、修道女4人を含む16人が殺害された。
ウィーン大司教のクリストフ・シェーンボルン枢機卿が発表した情報によると、当初ISが聖金曜日にウズナリル司祭を十字架につけたということだったが、復活の聖なる徹夜祭ミサの中で、南アラビアのポール・ヒンダー司教など他の指導者は後にその情報を誤りだとし、「トム(トーマスの愛称)神父が誘拐者の手中でまだ生存しているという強い兆候があります」と発表した。
司祭が生存しているという希望は、インドのスシュマ・スワラージ外務大臣がインドカトリック司教協議会に対し、安全な解放のための努力がなされていることを伝えたことによりさらに高まった。
「トム神父は安全で、早期の彼の解放のために努力をしています」とCBCIのスポークスマン、ギャプラカシュ・トプノ氏は大臣の発言を引用して語り、「政府は司祭が安全にインドに帰れるよう話し合いを進めています」と語った。
ウズナリル氏は、中東やその周辺地域において、ISや他の分派であるテロ組織によって誘拐された無数のクリスチャンや少数派の1人だ。オープン・ドアーズのような迫害監視団体は、世界でのキリスト教徒への迫害が、2015年には現代の中で過去最大規模となったと伝えた。
インドの国会議員は、中央政府が迫害されているキリスト教徒を守るため、より良い仕事をする必要があると指摘した。「ですから、ISはトーマス・ウズナリル神父を十字架につけた可能性があるというのに、インド人民党(BJP)政権は何もしていません。なぜですか? 彼がクリスチャンだからですか? 首相様、彼もまた仲間のインド人です」と、マニッシュ・テワリ国会議員は、ウズナリル氏が処刑されたといまだに信じきっているBJPへのメッセージの中で述べた。
マシュー・ウズナリルさんによると、弟のウズナリル氏は深い信仰を持っていて、「とても冷静で物静かな人物」だという。彼は、弟が「神の愛の宣教者会」の老人ホームで語ったことがある言葉をシェアした。「私たちは今日という1日を与えられました。そのことを神様に感謝しましょう」