スコットランドのグラスゴーにあるモスクで2日、イスラム教徒の小売店店主アサド・シャーさんの葬儀が行われ、参列した数百人が最後の別れを惜しんだ。シャーさんはその数日前、フェイスブック上でキリスト教徒に「ハッピー・イースター」というあいさつを投稿したことを理由に、仲間のイスラム教徒によって刺殺された。
インディペンデント紙によると、シャーさんの遺族はアハマディヤ・ムスリム・センターのバイト・ウル・ラーマンモスクで行われた葬儀の弔辞で、「彼は聡明な人で、人々の間に違いはあれども、似ている点のほうが非常に多く、違いを乗り越えることができると認識していました」と語った。「彼はただそれを発言しただけでなく、愛するショウランズのコミュニティー、愛するスコットランドで毎日その通りに生きていました」
40歳になるシャーさんは、平和的なイスラム教の一派、アハマディア・ムスリム協会の会員だったが、聖金曜日前日の3月24日夜、グラスゴーのショウランズで経営する小売店の外で刺殺された。
英国アハマディア・ムスリム協会のマンスール・シャー副代表が司式した礼拝の後、スコットランド・アハマディア協会のアブドル・アビド代表は「私たちの中でとても人気があった人が、もはやいなくなって悲しい」と述べた。「彼無しで今後どう切り抜けていけばいいか、私には分かりません。彼は礼儀正しく、優しい人でした。今日の礼拝は彼の記念であり、私たちのコミュニティーにこんなに素晴らしい人がいたことを誇りに思います」
参列者の中には、アリソン・チューリス議員、キャロル・モナガーン議員、サンドラ・ホワイト議員がいた。シャーさんが殺害された後、その小売店の常連客がクラウドファンディングサイト「GoFundMe.com」にページを開設し、シャーさんの遺族を支援するために約16万ドル(約1734万円)を集めた。
警察はブラッドフォード出身のタクシー運転手で、イスラム教スンニ派のタンビーア・アーメド被告(32)を逮捕し、殺人罪で告発した。警察は、「宗教に偏見を持った」殺人だと述べた。
殺害される前、シャーさんはフェイスブックに、「特に私の愛するクリスチャンの人々へ、聖金曜日とイースターおめでとうございます!・・・愛する聖なるイエス・キリスト(彼に平安あれ)の真の足跡に倣い、両方の世で本当の成功を得ようではありませんか」と投稿した。
シャーさん家族の友人で事件の目撃者でもあるモハメド・ファイサルさんはデイリー・メール紙に、宗教的なローブに身を包んだひげのある男が店に入り、シャーさんの母語で話し掛けた後、最後には包丁でシャーさんの頭部を刺したと語った。
ファイサルさんは、事件発生時に店のすぐ隣の建物で働いていたシャーさんの兄弟が、騒ぎを聞きつけて店に駆け込んだ際、容疑者がシャーさんの胸部に座って笑っているのを見たと明かした。
ファイサルさんは、「兄弟はシャーさんを引き離しましたが、その男はなおも刃物で攻撃し続けたのです」と述べた。