イエス・キリストを信じる人々が「クリスチャン」として認識されるようになる以前から、キリストを受け入れ信じるアラブ人は存在した。その2000年余りの歴史を持つアラブ人キリスト教徒らによる伝統的な神学書物がここ最近再発見されているが、これまでアラブ人キリスト教徒自らが、現代世界における神学的懸念事項について取り組み、1冊の本にまとめるということは聞かれてこなかった。しかし、このほどアラブ人のキリスト教神学者のグループが、3年の月日をかけて製作した著書「アラブ現代神学」を発行した。
「アラブ現代神学(原題:Arabic Contemporary Theology, ACT)」は、エジプトとレバノンのアラブ人キリスト教神学者10人のグループによって製作され、分量はA4サイズで500ページにも及ぶ。聖書を明確な根拠とし、現代社会においてキリスト者が直面する諸問題、とりわけ中東における問題について取り扱っている。
「キリスト教と女性」「救いと他の信仰」「福音主義とエキュメニカルとの関係」「現代の宗教・政治と関連させて預言的テキストを理解する」の他、「アラブ人キリスト者は旧約をどのように理解するのか」「アラブ文化とそのアイデンティティ、アラブ人による神学的挑戦」など、アラブ人の視点に向けられた取り組みがなされている。
同著は、「社会奉仕のためのコプト福音機構(CEOSS)」の出版部門「ダ・エル・タカファ」によって印刷された。同部門ディレクターのアンドレ・ザキ・ステファヌス氏は、今回のプロジェクト全体を開始当初から指導してきた。発行前には記念のセミナーが開催され、エジプトのプロテスタント各派から神学者や牧師、各キリスト教指導者ら約70人が参加した。