ゲーム内のアイテムをめぐり資金決済法に接触する疑いがあるとして、同法を所管する関東財務局が無料通話アプリ大手「LINE(ライン)」に立ち入り検査を行っているとする報道を受け、LINEは6日、「法律(資金決済法)に基づく規制の適用を意図的に免れ、同法に基づいて必要とされる供託を逃れようとしたかのような報道がなされましたが、そのような事実は一切ございません」と反論する文章を発表した。
これは、毎日新聞が同日付で「LINE 立ち入り検査 ゲームの『鍵』、通貨の疑い 関東財務局」の見出しで伝えた報道を受けてのものとみられ、LINEは文章で、ゲーム内のアイテムが資金決済法の規制対象となる「前払式支払手段」に該当するかどうかについて、「専門的、技術的な問題があり、法令上も行政実務上も判断基準が明確でない」と説明。
関東財務局から立ち入り検査を受けていることは認めたものの、「前払式支払手段発行者に対して数年に一度定期的になされているものであり、LINE POP(ラインポップ)「宝箱の鍵」につき資金決済法上必要な届出をしなかったという疑いに起因するものではありません」としている。
同紙の報道によると、LINEが運営するパズルゲーム「LINE POP」内のアイテム「宝箱の鍵」が、前払式支払手段に相当する可能性があるという社内の指摘が昨年5月にあり、長期間使っていない利用者分を除いても数十億円の供託を求められる可能性があったという。
社内のメールでは、「とても供託できる額ではありません」「1年近く前から通貨に該当する状況であったのに、届け出ずにいたことになりますので、処分を受けるリスクもあります」などと記載されていたという。同紙は、LINEがこうした指摘を受け、「宝箱の鍵」の用途を制限するなど仕様を変更した上で、関東財務局には届け出なかったと伝えた。
こうした報道に対し、LINEは文章で、同社のゲーム事業部では専任の法務担当者を常駐させ、外部弁護士にも相談するなどして、「法令上も行政実務上も判断基準が明確でない中であっても、利用者保護の観点から資金決済法を保守的に解釈し、前払式支払手段に該当するか否かの判断内容の適法性はもとより、判断過程の健全性を確保しております」と説明。
「宝箱の鍵」に関する社内からの指摘については、昨年5月にLINE POP以外のゲームも含めスマートフォン向けゲーム全体タイトルを対象に行った事後チェックであったものだとし、「同年7月における仕様変更前であっても『宝箱の鍵』の外観や使用場面等を総合考慮して前払式支払手段に該当しないと判断しております。もっとも、前述のとおり法令上の判断基準が明確でないことから、より保守的な対応を行うこととし、仕様変更を行ったものになります」と説明した。
また、供託金については、「資金決済法上の資産保全の方法は、現金での供託のみならず、銀行との間で保全契約を締結して資産保全をすることも可能で(当社は現在、後者の方法を採用しています)、キャッシュアウトするとしても数千万円程度であって、本件が当社の財務状況に与える影響は軽微であります」としている。
その上で、現在、関東財務局と協議中だとし、「引き続き同局の指導に従って適切に対応する所存です」としている。
毎日新聞は他にも「LINE 立ち入り検査 ゲーム複雑、規制後手 『通貨』線引き曖昧」の見出しの別の記事も掲載しており、「スマートフォンが普及しゲームの仕組みが複雑になる中、法整備が追いついていない」とするゲーム業界内の声を伝えるなどしている。