千葉県がんセンター(千葉市)で昨年12月に腎臓がんの手術を受けた60代女性の体内に、手術の際に使用したガーゼが取り残されていたこと明らかになった。女性は腹痛など腸閉塞(へいそく)とみられる症状を訴え、今年2月に千葉県がんセンターでガーゼを取り除く摘出手術を受けた。女性は命に別条はないという。朝日新聞などが伝えた。
同紙によると、女性は昨年12月、千葉県がんセンターで腎臓がんの手術を受け退院したが、その後腹痛や嘔吐(おうと)などの症状を訴えたため、検査を実施。体内に手術の際に使用したガーゼが取り残されていることが発覚したという。今年2月にガーゼの摘出手術を行い、腸閉塞のような症状があったが、現在は回復しているという。
読売新聞によると、体内に残されていたガーゼは長さ15センチ、幅3センチの大きさ。腎臓がん手術の際、部位を見やすくするため、腎臓周辺に複数のガーゼを入れ、そのうち1枚を取り忘れたという。千葉県がんセンターは2月、検討委員会を設置し、原因を調査している。また、術後にX線検査を実施し、体内にガーゼなどの取り忘れがないか確認するように決めたという。
千葉日報によると、千葉県がんセンターは既に、千葉県に対しては医療事故として報告している。しかし、同紙は、摘出手術から約2カ月たっても公表されていないと指摘。千葉県の担当者は共同通信の取材に「患者側と相談し、今後発表したい」としており、千葉県がんセンターは「担当者が不在で分からない」としているという。朝日新聞によると、千葉県がんセンターは今月5日、女性に調査結果を説明したという。
千葉県がんセンターでは、2008〜14年に腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた11人が術後に死亡、15年12月には進行した乳がん患者と間違え、別の女性患者の右乳房を全摘出する医療事故が起きている。
一方、手術で使用したガーゼの取り忘れは、先月、横浜労災病院(横浜市)でも明らかになっている。横浜労災病院で2011年に子宮の手術を受けた30代女性の体内からガーゼが見つかったもので、健康への影響はみられないため、女性はガーゼを摘出するかどうかを検討しているという。
また、昨年11月には、新潟県で60代男性の体内からガーゼが見つかっている。これは37年前に受けた手術で取り忘れられたもので、手術を担当した医師は既に亡くなっており、カルテも保存期間が過ぎて破棄されていたことから、ガーゼが取り忘れられた詳しい原因は分かっていないという。