ホンダは4日、小型車「フィット」と小型スポーツ用多目的車(SUV)「ヴェゼル」の計約16万4千台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。電気装置(昇降圧充放電コンバーター)の不具合によるもので、最悪の場合、火災に至る恐れがあるという。これまで59件の不具合が報告されており、火災2件、部分焼損4件が発生している。
一方、フィットについては、かじ取り装置(電動パワーステアリング=EPS=制御コンピューター)に関する別の不具合によるリコールも同日、届け出が出された。この不具合では、EPSの警告灯が点灯した上でEPSのアシスト機能が停止し、急にハンドル操作力が増大する恐れがあるという。これまでに32件の不具合が報告されており、2件の物損事故が発生している。
ホンダが国土交通省に提出した届け出によると、対象車両は、2013年8月2〜31日製造のフィット計11万8715台と、13年12月10日〜16年2月12日製造のヴェゼル計4万5673台。
フィット、ヴェゼル共通の昇降圧充放電コンバーターの不具合について、ホンダは「キャパシタ電源を使用しているアイドリングストップシステムにおいて、キャパシタの充放電電圧を制御する昇降圧充放電コンバータ内部素子の過電流保護が不十分なため、アイドリングストップからの再始動時等に生じた過電流が当該コンバータへ流れ、内部素子が損傷することがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると素子が発熱し、素子周辺の樹脂材が炭化し電流が流れ続け、発煙・発熱し、最悪の場合、火災に至るおそれがある」と説明している。
また、フィットのみの不具合であるEPS制御コンピューターの不具合については、「電動パワーステアリング(EPS)制御コンピュータのEPSアシスト停止電圧設定が不適切なため、バッテリが劣化していると、大きなハンドル操作時にバッテリ電圧がEPSアシスト停止電圧以下になることがある。そのため、EPS警告灯が点灯するとともにパワーステアリングのアシスト機能が停止し、急にハンドルの操作力が増大するおそれがある」と説明している。
それぞれ、全車両について、昇降圧充放電コンバーターを対策品と交換、またはEPS制御コンピューターとエンジン制御コンピューターを対策プログラムに書き換える措置を取るとしている。
リコールの対象車など詳細は、ホンダのホームページ(昇降圧充放電コンバーターに関するリコール・EPS制御コンピューターに関するリコール)まで。