ローマ教皇の次の地位にある教皇庁国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿が20日、キューバを公式訪問した。前教皇ヨハネ・パウロ2世が98年1月にキューバを訪問してから10周年を迎えたことを記念しての訪問で、19日に引退を表明したフィデル・カストロ国会評議会議長の後継者が始めて会談する要人となる。バチカン放送局が21日伝えた。
同局によると、ベルトーネ枢機卿は同日夜にハバナ国際空港に到着し、フィリペ・ペレス・ロケ外相など政府の要人や、教会関係者らに迎えられた。26日まで滞在し、この間にハバナ、サンタ・クララ、サンティアゴ・デ・クーバ、グアンタナナモなどを訪問し、同国の司教団、聖職者、神学生、修道者らと会談する。
24日には同国政府の招待で、グアンタナモで行われる記念式典に出席。この他、ハバナではロケ外相ら政府関係者、キューバ駐在外交団らとも会見する。
一方、同国では24日、国の指導機関である国家評議会のメンバーを選出する人民権力全国会議が行われ、フィデル氏からの後継指名を受けている弟のラウル・カストロ第一副議長が後継確実と見られている。ベルトーネ枢機卿は25日、ラウル氏とも会談することが予定されている。
ベルトーネ枢機卿は05年10月にキューバを訪問し、フィデル氏と会見しており、出発前のインタビューでは、「キューバの教会、そして政府関係者を含むすべての同国国民のため、複雑な現実の中に前向きな発展があるように祈りたい」(同局)と語った。