アフリカの最前線で働く宣教師のプロジェクトリーダーは、いまだ福音を知らない人々に伝える方法が技術とコミュニケーションの急速な進歩によって変わったとする一方、テロリズムがキリスト教宣教の障害となりつつあると話す。
「技術とコミュニケーションの最大の変化が地域に訪れました。携帯電話、コンピューター、ソーシャルメディアにより、世界は非常に小さくなり、また相互につながるようになりました」と、コロラド州コロラドスプリングスに拠点を置く宣教団体「リーチ・ビヨンド」のサブサハラ・アフリカ支部長リー・ソニウス氏はインタビューで語った。
「ほぼ30年前に、私たちが宣教師の団体として始めた頃は、米国との間ではまだ手紙のやりとりをしていました。手紙の返信をもらうには、少なくとも2、3週間はかかっていました」とソニウス氏は述べ、米国からアフリカへの電話は少なくとも毎分5ドル(約557円)かかっていたと付け加えた。現在はスカイプや多くの他のソーシャルメディア上で無料で話せる方法が無数にある。
「このような技術の変化によって、福音宣教にも多くの方法ができました。今は、インターネット上でほとんど無料で、免許も不要で『ラジオ局』の生放送をすることができます。ポッドキャストも短いメッセージを届ける方法です」
「手持ちのデジタルレコーダーや再生機器も、福音を届けるのに非常に良い方法です。読み書きができず会話の文化を持つアフリカの人々は、聖書を自分の母語で聞くことで神の言葉にアクセスすることができます」
ソニウス氏は18年間リーチ・ビヨンドに在籍しており、ガーナに在住し奉仕している。しかし、コートジボワールや他の多くの西アフリカ諸国でも長年過ごしてきた。彼はラジオ局設立の専門家で、福音を広めるために国際的な団体やパートナーと共に働いている。
しかし、ここ6年間ほどは、団体としてヘルスケアを含むさらに包括的な働きを展開してきた。医療チームを西アフリカの田舎の村々に派遣してヘルスケアによる奉仕を行ったり、発展援助として清潔な水が手に入らない村で井戸を掘るなどの水プロジェクトも行ってきた。
「私は今進めている水プロジェクトにワクワクしています。清潔な水が手に入らず、雨水や沼地など水があるところからめいめい水をくんでいたような村に井戸を設置できるからです。井戸を掘り、実際に清潔な飲用水が供給できるようになると、村の暮らしが完全に変わるのです。病気が減りますし、コレラや水が原因となる病気も減りますし、死亡率が低くなる村もあるほどです」
ソニウス氏は、主にリベリア、シエラレオネ、ギニアで発生し、全体で1万1千人以上が死亡した2014年のエボラ出血熱の流行について語った。当時、多くの宣教団体も影響を受け、宣教活動に多大な影響が出たという。医療チームが同年3月にシエラレオネに入る予定だった。ちょうどその月にエボラ出血熱のニュースが入り、計画を変更せざるを得なくなった。
彼は、多く考えて祈った末、医療チームの派遣を断念したが、代わりに「Bucket Brigade(バケツ部隊)」というプログラムを開始した。「私たちは、地域のパートナーがエボラと戦うのを支援するために、必要な全てのものを入れたバケツを近くの人々に渡せるよう資金を集めました。バケツの中には手の消毒ジェル、漂白剤、食料、手袋などの防護グッズのほか、さまざまな小物が入っていました」とソニウス氏。
ソニウス氏は、数千個のバケツが手渡されたことで、特にシエラレオネで致死的なウイルスと戦う人たちを支援し、大きな影響を与えたと述べた。
ここ数十年間におけるこの地方最大の困難として、ソニウス氏は、内戦、社会的な混乱、暴動、さらには特にリベリアで著しく、さまざまな困難をもたらす政治的混乱を挙げた。
ソニウス氏は、「エボラはほとんど丸1年間、大きな障害となりました。大都市ですら存在する、電気や水道などのインフラの問題もまた課題です」としながらも、「しかし、ここ2、3年では、ナイジェリアのボコ・ハラムやケニアのアルシャバブなどによるテロリズムが、アフリカで大きな問題となりつつあると考えています。治安問題が私たちの考えや計画の中心にならざるを得ません」と語った。
リーチ・ビヨンドは、毎年5月15日を国際未到の人の日(the International Day for the Unreached, IDU)と定め、教会、ラジオ局、報道機関や信者個人に対し、福音を人々に伝える特別なことをするよう呼び掛ける「Alliance for the Unreached(未到の人のための同盟)」を形成する団体の一つだ。
サドルバック教会のリック・ウォレン牧師を含む著名な福音派指導者らがプロジェクトに参加しており、いまだ福音を聞いたことがない世界中の20億人以上の人々に福音を届ける希望を持っている。
ソニウス氏は、アフリカには西アフリカサヘル地方の遊牧民族など、まだ福音を伝えていない多くの民族がいると指摘した。「私の希望は、IDUによって、欧米諸国や世界の先進国の教会がこうした民族の苦境に注目するようになることです。IDUに未到の人のための大きな祈りのキャンペーンが開かれるようになれば、それは大きな価値を持つでしょう」
「私はIDUの一員であることがとても幸せです。アフリカの『最前線』に住み、働き、福音を持ってこのような民族に届く必要を見ているのですから」