2月20日に大型サイクロン「ウィンストン」が直撃し、大きな被害を受けた南太平洋のフィジー共和国に3月7日から12日まで入国し、現地の視察と支援活動を行っている神戸国際支縁機構(代表:神戸国際キリスト教会・岩村義雄牧師)は16日、神戸市で報告会を行い、家を失った孤児の施設を建設するための寄付を訴えた。
フィジー共和国は南太平洋に囲まれており、人口約86万人。サトウキビやコプラ、ココナッツなどの農業や観光産業が経済の中心で、人口の約52パーセントがキリスト教徒だとされる。2月20日に最大瞬間風速81・8メートルの大型サイクロン「ウィンストン」に襲われ、報道官の発表(24日)によると、46人が死亡、1万9千の家が倒壊する被害を受け、現在も317カ所の避難所で約1万人が避難生活を送る。プロテスタント各派、WCC(世界教会協議会)、カトリックなどキリスト教団体が現地で救援活動を行っている。
今回は、同じくサイクロンで大きな被害を受けたバヌアツ共和国で、孤児のための施設の建築に関わってきた一級建築士の南俊治さん(南俊治建築研究所)が、空港から北東に車で1時間ほどのバーという町を訪れた。この日は、現地の被害の様子や、復興施設の建設のために現地の人と打ち合わせを行った内容などについて報告した。
現在フィジーでは、家を失った多くの子どもたちが仮設テントで暮らしながら授業を受けているという。このため同機構では、孤児の生活と学校施設を併せ持った「スターフィッシュ」という建物の建設を目標としている。「スターフィッシュ」は、英語で「ヒトデ」の意味。南太平洋に囲まれたフィジーでは、人々が毎日目にする親しみのあるもので、そこからデザインがとられた。高温多湿の気候を考慮して風通しがいいように、細長い五つの部屋が真ん中でつながったヒトデの形で、1階は30人の子どもの生活施設、2階は学校の教室として使用する予定だ。
子どもたちが使いやすいように現地の希望や要望を取り入れ、建築資材にも現地の木材を使用。最終的には6棟の建設を目指している。そのための資金として日本円で約3千万円が必要と見込まれ、同機構では資金の援助と寄付を募っている。
東日本大震災や、同じくサイクロンで大きな被害を受けたバヌアツ共和国での復興支援にも関わってきた南さんは、神戸ユニオン教会(神戸市)の教会員だ。「神戸ユニオン教会は、ヴォーリズが建てた神戸で一番古い歴史を持つ教会です。牧師先生はニュージーランド出身で、教会員も8割が外国人の方で、欧米やアジア、オーストラリアやニュージーランドの方もいらっしゃる国際色のある教会です。そのようなつながりからも、神戸や東北で大きな天災からの復興のプロセスをフィジーでも共有できるよう、建築士として力になりたいと思っています」と話した。
同機構代表の岩村義雄牧師は、「フィジーはイギリスの植民地だったため、国民の半分以上がクリスチャン、特にプロテスタントのメソジストの影響力が大きく、全土に2千以上の教会があります。現地の教会指導者の方とこまめに連絡を取りながら支援の詳細を詰めていっています。サイクロン上陸から1カ月近くになりますが、まだ被害の全貌すらよく分かっていません。被災した子どもたちのために支援をお願いしたいと思っています」と話している。
同機構は、7月30日までフィジーの緊急救援金を募っている。救援金の振込先口座は下記まで。問い合わせは、同機構(〒655-0049 神戸市垂水区狩口台5-1-101、電話:078・782・9697、携帯:070・5045・7127、FAX:078・784・2939、ホームページ)まで。
<フィジー緊急救援金振込先>
郵便振替口座:00900-8-58077
受取人:一般社団法人神戸国際支縁機構
※必ず「フィジーのために」と書き添えること