聖学院大学(埼玉県上尾市)は19日、同大チャペルにおいて卒業式を行う。今年度の学部の卒業生は445人で、5年前の大震災をきっかけに設置された人間福祉学部こども心理学科第1期生も卒業を迎え、卒業後は、地域貢献や心のケア実践を目指す。
同学科は、多くの子どもたちが心に傷を負うこととなった東日本大震災をきっかけに、2012年4月に誕生した。目に見えない悩みや苦しみ、悲しみを感じ取る姿勢を大切にする「スピリチュアルケア」をベースに、子どもが成長の過程で抱える問題を実践的に学び、子どもの心身に寄り添える人材を育てることを目的に設置された。
同学科で学んだ学生たちは、復興支援ボランティア活動を精力的に続け、地域のつながりの大切さに目覚め、故郷で警察官として就職する卒業生や、心のケアを実践するため臨床心理士を目標に大学院へ進学するなどさまざまだ。在学中は、聖学院教育憲章に謳われている「Only one for others」の精神に基づき、人に奉仕する精神を学ぶ中、学生たちも「誰かを支えたい」「子どもに寄り添える力を身に付けたい」「心に問題を抱える人の力になりたい」といった抱負を語っている。
また同学科では、毎年、家族や保育士、教師などの支援者に向けた冊子『子どもの心にそっと寄り添う』を発行し、今年も1月に第5集が発行され、被災した地域の学校や公共施設を中心に初版4千冊を無料配布するなど、外に向けた発信も行っている。
今年度の卒業式では、同大卒業後に、シニアコース入試を利用して大学院に進学した69歳の女性が、成績優秀者として表彰されることも話題の一つとなっている。