出版取次中堅の太洋社(東京都千代田区)が15日、東京地裁に破産手続き開始の申し立てを行い、直ちに破産手続きの開始決定を受けたと発表した。
太洋社は2月、出版業界の市場規模縮小や取次業者間の競争激化と寡占化などのため、事業継続が難しくなったとして、自主廃業の準備に入ったと発表していた。しかし、太洋社の最大手の取り引き書店である芳林堂書店が2月末に破産したり、太洋社の自主廃業宣言の影響で当初想定していた営業権譲渡が頓挫するなどしたりした結果、多大な焦げ付きが予想される状況に至ったという。
芳林堂書店に対する売掛金は、交渉の結果、在庫売却により約3億円は回収できることになったが、約8億円が焦げ付くことが確定。帳合変更については、事業の廃止を決定した書店を除くと、96・5パーセントでメドが立ったものの、帳合変更に伴い約2億円が未回収となっているという。
そうした中、不動産の売却など資産売却については時間を要するが、順調に進んでおり、その他の大口取り引き書店に対する回収の実現可能性の見通しもついたことから、「もはや万策が尽きたものとして、自主廃業を断念し、この度、本日の午前10時をもって東京地方裁判所に対し破産申立をするに至った」という。
その上で太洋社は、「この間、弊社のお願いに対し、ご協力頂きましたお取引出版社様およびお取引書店様におかれましては、重ね重ね感謝申し上げるとともに、弊社の全資産を処分あるいは回収したうえで、お取引出版社様に対する買掛金を弁済するという当初想定したスキームを完遂することができず、その結果、お取引出版社様に対し、多大のご迷惑をお掛けするに至ったことにつき、誠に申し訳なく、深く深くお詫び申し上げます」としている。
帝国データバンクによると、負債額は昨年12月期末時点で約76億2900万円だが、その後に変動している可能性もあるという。また、出版取次業者の倒産では、昨年6月に民事再生法の適用を申請した業界4位の栗田出版販売の133億8200万円についで過去2番目の額だという。