ローマ・カトリック、プロテスタント、ペンテコステ派を含むナイジェリアの全ての主要なキリスト教団体が、キリスト教徒の中での分裂が国内の過激派組織「ボコ・ハラム」の襲撃の拡大に手を貸すだけだという認識を共有するためのキャンペーンを通して一致しようとしている。
キリスト教メディア「ゴスペル・ヘラルド」は、ナイジェリアで起こっているキリスト教徒や市民に対する暴力が、一般的には北部で起こっていること、またブレザレン教会のサムエル・ダリ会長など一部のキリスト教徒からは、ボコ・ハラムが分裂しているキリスト教徒を見ると、南部にも攻撃の手を広げるだろうという声が上がっていることを報じた。
ダリ氏は、「ナイジェリア南部の兄弟たちは大抵、北部で何が起こっているかを知らずにいます。南部や他の地域の教会には、このテロリズムが北部だけでなく国内全体の教会を標的としているものだと認識することを願います。ナイジェリア北部でキリスト教徒を攻撃している者は皆、究極的には世界の全てを攻撃するからです」と述べた。
ボコ・ハラムは昨年、少なくとも4千人のキリスト教徒を銃撃、爆弾、村への襲撃で殺害した。そして2009年以降はテロ活動もしている。イスラム過激派であるボコ・ハラムは、ナイジェリアから全てのキリスト教徒を追放する意志を明確に示しており、イラクとシリアを拠点とする過激派組織「イスラム国」(IS)と提携している。
女性や子どもの大量誘拐などの多くの蛮行は、複数の人権団体により記録されている。報告の中には、広がる恐怖によって一部の子どもたちが自殺を考えざるを得ない状況になっているとするものもある。
「私は、コミュニティーが受けている苦難の中で、人々が受けているショックと不信感を目撃しました。子どもたちの目にはトラウマがありました。苦難の規模は、想像をはるかに超えています。私が出会った人々には、緊急の保護に値し、その必要があります」とレイラ・ゼルギー国連事務総長特別代表は述べた。
ナイジェリアにおけるキリスト教徒の一致キャンペーンは、ボコ・ハラムの襲撃への関心を高めることを目的としており、ここ数年で起きている最も暴力的な行為に世界全体が関心を持ち始めることを期待している。
キリスト教徒はボコ・ハラムからだけではなく、牧畜民のフラニ族によるイスラム過激派のテロの脅威にも直面している。フラニ族は争いの中でキリスト教徒の農家の人々を数百人殺害しており、ムハンマド・ブハリ大統領はこれらの争いについて迅速に調査をしている。
中央部のベヌエ州における民族間の争いによって、村の住民7千人が家を捨てざるを得なくなったと報じられている。国際キリスト教コンサーン(ICC)などの人権団体は、暴力の多くがキリスト教徒を標的としていることを指摘している。
「ICCは、人類の悲劇と暴虐の中にあって、この地域で現在も進行するこの組織的な人口減少を非難します。一連の襲撃のそれぞれが同じ悲劇の物語を語る中、キリスト教徒は恐怖の中で、放火、なたによる暴力、銃撃などの脅威に継続して晒(さら)されています」とICCのアフリカ支部長トロイ・オーガスティン氏はコメントした。
「この地域でキリスト教徒が耐え続けている暴力が頻度と野蛮さを増していくのを目の当たりにし、現実に人が亡くなっていることやキリスト教徒が置かれている苦難に対して鈍感になってはなりません」