カトリックの信仰を基礎とし、全ての子どもに食事と教育を与えるビジョンを持つある慈善団体が、子ども千人に学校給食を供給するために動き出した。
5年前にシリアの内戦が勃発してから、国境を超えて流入した難民の数は100万人以上に上るが、「Mary's Meals(マリアの食事)」はその数字に圧倒されるだけではなく、行動を起こした。
プログラムの代表フィオナ・ギルモア氏は取材に対し、「世界中の多くの方と同様、私たち『Mary's Meals』の皆が、シリア国内や周辺で起きている悲劇と、対立を避けるために家を捨てざるを得なかった人々の絶望的な苦難を知り、深く心を動かされました。数カ月にわたって私たちは、現代で最大の人道的危機が起こした苦難を緩和することを支援するため、何が最善なのかを検討していました」と語った。
「Mary's Meals」は、ベイルート郊外のアンテリアスの子どもたちに給食を提供し、食料と教育の両方を受けることができるよう支援することで、「シリアの対立が引き起こす大虐殺」のさなかにも「かすかな希望の光」を提供することを願っている。
公式サイトによると、そのビジョンは、学校のある日に世界で最も貧しい子どもたちに良質な食事を提供することであり、「自身の子どもを貧困の中で育てたイエスの母マリアの名を付けた」という。
創立者でCEOのマグナス・マクファーレン=バロー氏は、「全ての親のように、家を捨てざるを得なかったシリアの母親や父親は、子どもたちが今の惨状を超えて将来に希望を持てるように、子どもに食料と教育を与えることを何よりも望んでいます」と声明の中で述べた。
「Mary's Meals」は、「レバノン人のクラスメートと同様、レバノンに定住した少数のシリアの子どもたちにも、間もなく学校給食を提供します」とギルモア氏は述べた。
「レバノンは、世界のどの国よりも多くの難民を受け入れています」。このことによって、「レバノンには非常に重い負担がかかっており、私たちはその働きを通して、レバノン人とシリア人の両方を支援します」とのことだ。
「Mary's Meals」は、地域への関与に力を入れており、共に働いている地域の住民を力づけている。
ギルモア氏は、「地域の当局と手に手を取って協働することは、絶対に不可欠です」と語り、レバノンの教育・高等教育省がこのプロジェクトの立案に関わっていると説明した。
どちらの側もこの関係から恩恵を受ける。当局は、難民危機による圧倒的な需要への対処に苦渋しており、学校給食プログラムを歓迎する。そして「Mary's Meals」は当局のノウハウや地域の知識から利益を得る。彼らは「必要が最大の場所はどこかを最も知っている」。
給食プログラムは、シリア人の子どもだけに限定されておらず、地域のレバノン人の子どもをはじめ、学校に籍を置く全ての子どもに開放されている。
「地域への関与、力づけ、所有意識」がプロジェクトの「鍵」であり、「Mary's Meal」は「家族が昼食の準備に責任を持つ以上、シリア人の親を持つ子どもも、レバノン人の親を持つ子どもも平等にプロジェクトの対象としています」とギルモア氏。
「Mary's Meals」は、レバノンで2013年から働きを行う「Dorcas(ドルカス)」というオランダの救援団体と協力している。その理由は、「『Dorcas』の経験によって、私たちは地域に現に存在する必要を特定し、応答することができます」とのことだ。
「Mary's Meals」は、以前エボラ出血熱が流行した西アフリカや2010年のハイチ地震発生後の被災地などで働き、人道的危機の現場を経験している。