信教の自由のために活動する英国のキリスト教団体「世界キリスト教連帯(CSW)」が2月26日に発表した『コロンビア 信教の自由と良心の自由』と題する報告書によると、南米のコロンビア共和国では、教会指導者が脅しや強制立ち退き・暗殺の標的になっているという。
報告書はまた、「クリスチャンの青年を含めて、若者たちが、深い宗教的信仰に基づいて自らの良心的拒否を宣言しようとするときでさえも、違法な武装集団または軍隊に強制的に入れられ続けている。違法な武装集団を離れようと試みているキリスト教への改宗者たちは強制的にむち打ちまたは殺される。違法な武装集団は同国の多くの地域で宗教活動に対し依然として厳しい制限を課しており、一部の場合ではそれを完全に禁止している。教会もまた武装集団による強要の標的にされることが多い」と述べている。
そして報告書は、「最後に、一部の先住民族社会では、伝統的な権威が非伝統的な宗教建築を閉鎖する責任を負っており、彼らの共同体のメンバーを強制的に伝統的な信仰や宗教の実践へと再び改宗させ、そうすることを拒む人たちを強制的に立ち退かせようと試みている」と記している。
報告書によると、コロンビアの人口は主にキリスト教徒であり、多くの市民が全く邪魔されることなく定期的に宗教活動に参加している。しかしながら、この人口のうちのかなりの割合の人たちが、信教の自由および良心の自由の継続的かつ重大な侵害を受けているという。
「より幅広い人口において、これらの侵害は武力紛争の文脈の中で、またその一部として起きている」と報告書は説明。「先住民族社会は紛争に関連する信教の自由および良心の自由の侵害に苦しんでいるが、これらの権利は、宗教的な画一性を彼らの社会に強要しようとする伝統的な権威を支持する判決を出してきたコロンビアの裁判所によって、厳しく減らされている」という。
コロンビアでは、とりわけ同国最大の左翼ゲリラ集団であるコロンビア革命軍=人民軍(FARC-EP)と政府との間において現在継続中の対話という形で、紛争に関して主だった措置が取られてきている一方で、非戦闘員に対する攻撃や信教の自由に対する厳しい制限など、人権侵害が同国の多くの地域でひどくなってきたという。
そして報告書は、民族解放軍(ELN)やさまざまな新しい準軍事組織、とりわけクラン・ウスガとしても知られているウラベニョスが、FARC-EPによって現在まで支配されている領域へと移動したり勢力を拡大しつつあると述べている。「両者は、信教の自由や良心の自由の侵害を含め、重大な人権侵害について責任を負っている」と、CSWは付け加えている。
こうした紛争において、キリスト教の指導者や信仰共同体、そしてこれらの共同体の個々のメンバーは、クリスチャンであることや住んでいる場所、そしてやっていることを理由にコロンビア全体で標的にされていると、報告書は述べている。そして、一部の場合では、彼らが標的にされるのは他でもなく信仰がその理由であり、他の場合では、その信仰が彼らの生き方にどう変えられているかを理由に標的にされるのだという。
「しかし、これらの場合を詳細に記録して報告することの困難や危険性のために、とりわけ全般的な文脈や同国でもっと多くの目に見える地域にいるキリスト教徒が満喫している明らかな礼拝の自由の中で、この状況は過小に報告されており、ほとんど関心を持たれていないのだ」と、報告書は述べている。
「この危険性にもかかわらず、被害を受けている社会の成員は、自らの苦しみを詳細に記録し続けては、コロンビア憲法や国際法で保障されている彼らの基本的人権を求めている。コロンビア政府と違法な武装集団は、これらの被害者たちの権利が確実に維持されるよう、そして彼らの声や憂慮が和平プロセスやその結果としてのいかなる合意にも、意図的に含まれるよう、具体的な措置を取らなければならない。国際社会は、この点において、コロンビア政府を含めた、この紛争のさまざまな行為主体に責任を負わせるよう、注意を怠ってはいけない」と、この報告書は訴えている。