公正取引委員会は1日、自衛隊の戦闘服などの納入をめぐり談合が行われていた疑いが強まったとして、化学メーカー「クラレ」(東京都千代田区)と繊維メーカー「ユニチカ」(大阪市)に加え、丸紅(東京都千代田区)など両社の取り引き先企業6社を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査した。共同通信や時事通信などが伝えた。
両通信が関係者の話として伝えたところによると、両社は自衛隊用の戦闘服や作業服、ヘルメットのカバーなど納入をめぐる入札で、事前に落札会社を決めるなど談合を繰り返していた疑いがあるという。
毎日新聞によると、自衛隊の戦闘服や作業服は特殊な合成繊維「ビニロン」でできており、発注額は年間約20〜30億円に上るとみられているという。日本独自の技術で開発されたビニロンは、気温の変化や風雨に強く、陸海空の各自衛隊の戦闘服の多くで使用されているという。クラレとユニチカはビニロンの主要メーカーで、時事通信によると、談合は十数年以上にわたって行われていたとみられているという。
クラレは同日、公式サイト上で公正取引委員会の立ち入り検査があったことを伝え、「立ち入り検査を受けたという事実を厳粛に受け止め、検査に全面的に協力してまいります」とするコメントを発表。ユニチカも同日、立ち入り検査があったことを伝え、「この度の事態を厳粛かつ真摯(しんし)に受け止め、立入検査に全面的に協力してまいります」とするコメントを発表した。
一方、ユニチカによると、立ち入り検査を受けたのは、ユニチカの子会社であるユニチカトレーディング(大阪市)。