共和党の大統領選挙候補者ドナルド・トランプ氏はここ数日間、ジョン・ケリー国務長官は聖書を読んだことがないという発言から、自分より聖書を多く読んだ人はいないという主張まで、聖書について多くコメントした。
トランプ氏は24日、リージェント大学でCBNのパット・ロバートソン氏に、最近のイランの核開発の制限と引き換えに経済制裁を解除したことを筆頭に、ここ数十年間で米国は外交政策の過ちを多く犯していると話した。
「最近イランがどうしているか考えてみましょう、いいですか? イランとの交渉の中で、私たちは1500億ドル(約17兆円)を与えました。その引き換えには何も得ませんでした」とトランプ氏。「私たちは、交渉を始めるはるか前に、自国民の囚人を取り戻しておくべきだったのです。・・・(ジョン・)ケリー国務長官は、私がこれまで見た中で最悪の交渉人です」
大富豪の実業家でもあるトランプ氏はさらに、「ケリー氏は明らかに、『The Art of the Deal(邦題:トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ)』を読んでいません。おそらく聖書も読んでいないでしょう」とも述べた。
ケリー国務長官は熱心なカトリック信者だ。彼は2013年12月のABCニュースのインタビューで自身の信仰について語り、苦難が神の計画の一部だということを理解するために、聖書がどれほど助けになったかを話した。
「パウロ書簡や聖書のほかの個所を読むと、苦難についても語っていますし、逆境についても語っています。そして、私はいくらかでも、それをより良いところに置こうとし始めるのです。ご存じのように、起こる全てのことについて決定をされる絶対的な神ほどではありません。しかし、起こることに私たちが責任を取る範囲の枠組みを作ります」と当時ケリー氏は語った。
「The Hill」が23日にそのことを指摘すると、トランプ氏は聖書に自分がどれほど結びついているかを強く主張した。ネバダ州で行われた共和党の予備選挙で3連勝を収めるのに先立ち、「私より聖書を読んでいる人は誰もいません」とトランプ氏は宣言した。聖書に関する失言が幾つかあるにもかかわらず、トランプ氏は、自分が熱心なキリスト教徒だと主張した。
トランプ氏は今年、リバティ大学で、家族研究協議会(FRC)のトニー・パーキンス氏が聖書個所を提示した際、「コリントの信徒への手紙二(Second Epistle to the Corinthians)」を「Two Corinthians」と読んだ。パーキンス氏は、その失言の原因が「2 Corinthians 3:17(コリントの信徒への手紙二3章17節)」というメモを渡したことにあるとしてトランプ氏が自分を責めたことを受け入れたが、トランプ氏の過ちによって「彼があまり聖書に親しんでいないことが明らかになった」と語った。
トランプ氏は昨年8月、愛読書は聖書だと述べたが、『Bloomberg』の「With All Due Respect(失礼ながら)」のコーナーでのインタビューで好きな聖書個所を繰り返し尋ねられても、答えなかった。
「私はそこに踏み込みたくありません。私にとって、それはとても個人的なことだからです」と当時トランプ氏は説明した。「聖書は私にとって多くの意義があります。しかし細かいことは踏み込みたくありません」
のちにトランプ氏は、好きな聖書個所は「ねたみに屈してはならない」だと答えたが、聖書にはこういった箇所はない。
トランプ氏は、自身は長老派の信者でマーブル協同教会の会員だと称しているが、マーブル協同教会は長老派の教会ではなく、トランプ氏が会員である記録もない。
共和党の予備選挙をリードするトランプ氏はまた、神と福音派の有権者と「素晴らしい関係」を持っていると語った。
「私は多くの方々が思うよりも、とても違う人生を生きています。私はここ数年についてのことを話しています。とても良い人生を送っています。良い人生を送ろうと努め、実際に送っています」
アイオワ州の党員集会の前、トランプ氏は福音派へのアプローチの一環として、アイオワ州の教会の礼拝に出席した。しかしその教会は、同性婚を支持する主流派のプロテスタント教会だった。アイオワ州のほかの教会の礼拝では、トランプ氏は献金皿と間違えて聖餐皿に金銭を置いた。
テレビタレントでラジオ司会者のグレン・バック氏など保守派からは、トランプ氏は聖書を読んですらいないだろうという声が上がった。
モルモン教徒であるベック氏は、2月に開かれたテッド・クルーズ氏の集会で、「多くの人がトランプ氏を見ていて、この人が聖書を開いたことがあると信じている人が多過ぎます。・・・これは私が今まで聞いた中で最大の付け焼刃です」と語った。
ベック氏は、「今夜、皆様に遠慮なく率直に申し上げます。ドナルド・トランプ氏は、私の意見からすると、非常に危険です」と述べた。