政権を担う中国共産党による中国のキリスト教徒への迫害が、中国のキリスト教の中心地と見なされている浙江省での教会破壊の全容を記録してきた、多くの人権団体によって明らかにされ続けている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は世界中で起こった人権侵害についての2016年度の報告書を公開した。中国には幾つかの問題があると指摘し、信教の自由のために立ち上がった人を含む多くの人権擁護者の逮捕を挙げた。
HRWは報告書の中で、中国当局が2015年、教会の十字架や時には教会全体を破壊する一連のキャンペーンを指揮してきたことを指摘した。
当局は、その行動を建築基準を満たさない「違法建築」を撤去しているだけだと主張したが、チャイナエイドの傅希秋牧師など中国のキリスト教徒を擁護する活動家たちは、中央の指示は地域で増加しているキリスト教の勢力を減らすことがむしろ目的となっていると指摘した。
「2015年、当局は教会から十字架を撤去する運動を続け、中国のキリスト教の中心地と考えられている浙江省では、幾つかの事例で教会全体が破壊された」と報告書にはある。
「2014年前半にそのキャンペーンが始まってから、教会の破壊に抵抗したとして少なくとも100人のキリスト教徒が拘留された」
地下教会の教会員や牧師は教会への弾圧に抵抗したとして拘留された。そして弾圧が激しさを増している兆候としては、今年2月に中国で最大の公認教会、杭州基督教会崇一堂の顧約瑟(Gu Yuese)牧師が逮捕され、告発されたことが挙げられる。
傅氏によると、政府の行動に公に反対の意思を示したとして処罰された顧氏は、1960年代の文化大革命以降に逮捕された人の中では最高位の公認教会の職員となった。
傅氏は今月インタビューに応じ、「起こり得るシナリオとしては、顧牧師は告訴されるでしょう。そして自白によって、またどれほど協力的かによって、収監される長さが交渉されるでしょう」と述べた。
そしてさらに、「このことは、中国全体で政府公認教会の指導者の魂を揺さぶるでしょう。波紋のようにこれら全てのことが広がっていくでしょう」とも語った。
HRWの報告書には、当局がその統制から外れている団体をしばしば「邪悪な部分」と分類し、仏教の分派のように扱おうとしていると指摘されている。
中国は公的には、宗教的少数派を迫害していることを否定し続けており、中国共産党員の李雲龍氏は「チャイナ・デイリー」に、人権についての批判は「現実に根拠のない」「主観的なバイアスの産物」と書いている。
李氏は「中国では、全ての市民が自由に自身の宗教的信仰を選ぶことができ、信仰を表明して宗教活動に参加することができます。中国の宗教の繁栄にとって社会環境は継続的に発展しており、社会は宗教に対してより客観的で合理的となっています」と述べた。