「新電力」大手の日本ロジテック協同組合(軍司昭一郎理事長、東京都中央区)が、3月末で電力小売事業から撤退するという。資金繰りの悪化などが原因で、契約者に対しては今後、3月末で事業を停止することを通知する。日本経済新聞と朝日新聞が24日、伝えた。
両紙によると、日本ロジテック協同組合が電力小売事業から撤退した場合でも、電力会社が代わりに供給するため、電気がすぐに止まることはない。しかし、契約者は3月末までに契約を他の新電力か、大手電力会社に変更する必要があるという。
日本経済新聞によると、日本ロジテック協同組合は現在、1300余りの企業や自治体に電力を供給しており、朝日新聞によると、契約数は全国で約6000件、うち東京電力管内が約4000件あるとみられている。これらの契約者が大手電力会社と契約した場合、これまでよりも電気料金が増えるとみられており、影響が広がる可能性があるという。
朝日新聞によると、日本ロジテック協同組合は、東京電力に支払う送電線使用料が昨年春以降滞りがちになり、昨年12月分の約18億円と今月1月分の数億円の計20億円以上が未納の状態。さらに、東京電力との送電線の使用契約自体を4月から廃止すると申し入れたため、電力小売事業から撤退するとみられているという。
新電力の情報などを掲載している「電力計画.com」によると、日本ロジテック協同組合の2014年度の供給量は11万572Mワット時と、新電力では4・2パーセントのシェアで6位。日本ロジテック協同組合のホームページによると、同組合は一括購入した電気を組合員に給電することで、電気を低価格で提供。年間1〜8パーセント程度の電気料金削減が可能だと説明している。
新電力(特定規模電気事業者、PPS:Power Producer and Supplier)は、東京電力など既存の大手電力会社が所有する送電線を通じて電力供給を行う業者で、日本ロジテック協同組合は2010年から参入していた。
一方、今年3月までは、新電力が電力を供給できるのは契約電力が50キロワット以上の需要家に限定されていたが、今年4月からは「特定規模電気事業者」(新電力)と「一般電気事業者」(大手電力会社)の区別がなくなり、「小売電気事業者」にまとめられ、全ての規模の需要家に対し電力を販売できるようになり、電力小売事業が完全自由化される。